福井別院子ども報恩講を訪ねて
- 福井教区より「こどもほんこさん」をレポート- 子ども報恩講②福井教区通信員

 2018年12月8日、福井別院報恩講中にで初めて「子ども報恩講」が開催されました。子ども報恩講は、「子ども」とうたっていますが、親・子・孫3世代に、親鸞聖人の御命日のつどいをご縁にお念仏の教えをたずねていただきたいと思い企画を進めてきたものです。これまで福井教区全体では子どもを中心としたこうした企画はあまり開かれていませんでした。「子ども会のないお寺に未来はない」という危機感を背景に、お念仏の教えが福井の地で次世代へとつながっていくことを願っての企画でした。

開催のきっかけとなったのは、1年半前に始まった福井教区青少年教化小委員会の活動でした。同委員会は3年任期。2017年からの任期では、これまで男性僧侶中心だったメンバーを、坊守中心に切り替えたそうです。

子ども報恩講④福井教区通信員

 委員会幹事の山田顕子さん(福井教区第10組、唯稱寺坊守)は「引き受けたからにはちゃんとやらないと気が済まないんです。最初は自分にできるか心配でしたが、やっていくうちにだんだんと楽しくなってきました。みんな、気が合うので次々に色んなアイデアがわいてきました」。坊守6名・若手僧侶3名の委員の活動が原動力となり、この1年半のうちに福井教区内の13カ寺で子ども会が誕生したり既存の子ども会が活性化したりしました。

 山田さんは語ります。「モットーは全力で子どもたちを楽しませることです。とにかく全力で。私たちは法話などお坊さんらしい活動はしていませんが、私たちにしかできない活動をしようね、と話してきました。お念仏の教えを通して、すくすくと育ってほしいという願いがあります」。

子ども報恩講は、その集大成の一つ。4日間ある福井別院報恩講の3日目(土曜日)を、その日に充てました。集まったのは、教区内の寺院で開かれている子ども会の子どもたち、近くの常葉幼稚園の園児たち、そして教区内寺院に住まう子どもたち。園児から小学生児童まで総勢94人が集まりました。

子ども報恩講①福井教区通信員

 幕開けは園児による歌の発表から。雅楽の紹介に続いて、法要が始まりました。例年よりも簡単なおつとめ(正信偈草四句目下・念仏和讃・三淘六首引回向)に変更し、子どもたちと大人が一緒におつとめしました。内陣でおつとめする僧侶の中には、6人の子どもたちがいました。今回の子ども報恩講では初めて子どもの出仕者を募集したそうです。

 出仕したのは、鷹尾由惟さん(第1組正藏寺)、大學輝之くん(第1組法養寺)、阿部湧己くん(第1組報恩寺)、市川蓮くん(第5組圓流寺)、菅原選くん(9組稱名寺)、宮城陽樹くん(第7組願浄寺)らの6人。 そのうちの一人、小学4年生で10歳の宮城くんは今年の夏に得度したばかり。今回は住職である母親と一緒に出仕しました。「緊張したけど、上手にできた。もっとうまくなりたいし、また出たい。みんなで一緒におまいりできるから」と頼もしく話してくれました。

子ども報恩講③福井教区通信員

 続いて行われたのは「ハイテク紙芝居」。 大型スクリーンに紙芝居の絵をうつし、青少年教化小委員会のメンバーがマイクを回して、さまざまな登場人物の声を演じた。上演したのは『りゅうじん池としんらんさま』(東本願寺出版発行)。これは委員会が教区内の各地を巡って子ども会のサポートをするとき、目玉にしてきた企画です。 山田さんは「今回の子ども報恩講は、いつもやっている子ども会サポート活動の集大成。毎回反省はあるが、今回は一番いいものにしたいねと話し合いました。全力で子どもたちと真剣に向き合いました」と話していました。

子ども報恩講⑤福井教区通信員

 ハイテク紙芝居に続いて、竹中慈祥さん(難波別院法務部長・長浜教区真廣寺住職)による法話です。スクリーンを使い、一休さんが登場する親しみやすいお話。一人の子どもがいるということは、無数のいのちがつながってここにいるということを、図で分かりやすく紹介し、「いのちはみんなつながっているんだね」と優しく語りかけました。 午後からは委員会メンバーがゲームブースを運営。段ボール鉄砲や巨大ジェンガ、プラズマカーの運転コーナーなどスタンプラリー形式で回るイベントで、子どもたちを楽しませました。

 最後は難波別院・大阪教区の公式キャラクター「ブットンくん」が登場しての、「ブットンくんのしゃべらないトークショー」です。子どもたちは飛び上がって喜び、ブットンくんの質問コーナーでは、「何歳?」「好物は何?」と子どもたちに質問しながら、みんなで楽しんでいました。 今回の記念品のひとつに、大阪教区から、絵本『おしゃかさまとブットンくん』を提供いただいたそう。思いがけない記念品に、子どもたちは喜んでいました。

子ども報恩講⑥福井教区通信員

 山田さんは今後もこの活動に力を入れていきたいと意気込みます。「任期はあと1年ですけれど、私たちでもう1期やりたいね、と話しています。もっとやらなあかんね、と。いろいろな経験をしてみたいですし、やりたい企画もまだまだ出てくるのではないかなと思っています」。女性の力で広がりつつある福井教区内寺院の子ども会誕生活性化の動き。私の住まうお寺では子ども会をやっていません。いつかやってみたいなと思っています。今回、取材を通して、委員さんたちの充実感あふれる表情に触れたのは、とても印象に残る出来事でした。

 

子ども報恩講⑦福井教区通信員

(福井教区よりレポート)