能登写真①

 

能登教区では、青少幼年教化事業「春のこどものつどい」が開催されています。

今回は、「どんなカンジ?~書こう~」をテーマに、書道家の三藤 觀映先生(能登教区第13組 願正寺住職)を講師にお迎えして、子どもたちと字について、考え、改めて向き合うことを内容として開催されました「春の子どものつどい」の様子を、橋本 真 能登教区駐在教導にレポートしていただきました。

 

【事業概要
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【事業のコンセプト

毎年、能登教区では、教区内の子どもを対象に、様々な事業を実施してきました。真宗の教えを「見逃しがちな事柄に立ち止まって考え、その背景に思いを寄せる人になっていく」教えととらえ、様々なワークショップを通して、その教えに触れてほしいという願いを基点としています。毎年共通のテーマは「つ・な・が・り」です。本年度は、NHKの書道番組や、国宝の修復などでご活躍の三藤觀映氏に全面的なご協力をいただき、「どんなカンジ?~わたしを書こう~」をテーマに、子どもたちと字について、考え、改めて向き合ってみる事業を実施いたしました。

 

 

【企画について】

能登写真②対象となる児童は、新小学3年生から中学生までとし、青少年小委員会に実行スタッフを加えたメンバーで企画会議を重ねました。基本的なテーマを定めて、それを具体化するために必要な事柄、物品、予算などについて決定していきます。参加費は、3,000円。教区予算は24万円。

 

 

 

 

【当日の運び】

能登写真④まずは、三藤先生より、文字のルーツについて学びます。子どもたちは、冗談を交えた先生のお話に聞き入り、日頃、何気なく見ている字、あるいは学校で勉強しなきゃいけないものとしての字が、全く違ったものとして感じられてきている様子でした。続いては、文字探しゲームです。部首に分かれたカードをあらかじめ、敷地内、建物内に隠しておいて、制限時間を設けて探します。カードを見つけたら、今度はそれを使って、班に分かれて字を作るゲームをしました。これも制限時間を設けて、チーム対抗戦でやります。最後に成績発表。

次は、オリジナルの印を造るに先立って、篆書の成り立ち、書き方について、先生に習い、それぞれ書いていきます。練習が終わればいよいよ本番です。色紙に好きな文字の篆書を清書しました。皆、初めて体験する「逆筆」が、絵を描くのに似ているのか、楽しみながら一生懸命に取り組んでいました。

能登写真⑤続いては、いよいよ刻印製作です。自分の名前から一字を選び、先生に篆書体を教えもらい、印のサイズに切った紙に書き込んでいきます。それを中学生は軟らかい石、小学生は硬めのプラスチックに転写して、彫りこんでいきます。中には彫りすぎてしまう子もいたりしましたが、先生やスタッフに手伝ってもらいながら何とか完成しました。

一日目の書についての日程は以上で終了です。その後は、お勤めをして、スタッフ特製のバターチキンカレーをいただきました。夜にはレクリェーションをして遊び、入浴、就寝です。

日程終了後には、先生が全ての印に手直しをしてくださいました。

 

能登写真⑥二日目は、初日に書いた色紙の仕上げからです。先生に手直ししてもらった印を、自分の色紙に押します。自分の書いたものが一つの作品になるのを皆とても喜んでいました。

続いては、もっと大きな字を書こう、ということで、席上揮毫です。まず指名されたスタッフが、手順を説明しつつ見本を示します。

それから三つに分かれて、バケツに入れた墨に自分の腕ほどの筆を浸して、それぞれ好きな字を、大きな紙に書いていきます。どの子どもたちも、集中して書いていました。これにも、それぞれの印を押して完成です。

最後は、先生が用意した詩について、お話をお聞きして、皆で共同制作しました。一文字ずつ交代で書いていき、最後に周りに押印して完成です。

二日間で、オリジナルの印鑑・色紙・揮毫と三つの作品を完成させました。上手・下手を超えて、集中して何かに取り組むいい機会となったのではないかと思います。また、日頃ただ使っているだけの文字をあらためて見つめなおす契機となったのではないでしょうか。

 

【おわりに】

能登写真⑧今回の事業は、三藤先生という方が全面的に協力していただいたおかげで実施できたものですが、書の心得をお持ちの方が近くにおられれば、同じような形で実施することの出来る事業ではないかと思います。怪我には充分注意しなければなりませんが、プラスチックの印でしたら力のない小学生でも彫ることが出来ますし、インターネットなどで注文して、主催者側も一緒になってチャレンジすることで子どもたちと大事な時間を共有できるのではないでしょうか。また刻印はせずとも、書道教室などから道具をお借りして、詩の合作などに取り組めば、一つの詩を通して、真宗の教えに触れていただけるいい機会にもなりますし、親への伝播も期待できます。ご参考にしていただければと思います。

《了》

能登写真⑩