岐阜教区第15組は、山々に囲まれた岐阜県の中央部に位置する郡上市の南部地域にあたり、美並町、和良町、八幡町、明宝地区に全22ヶ寺があります。八幡町の中心部では、毎年7月から8月には郡上踊りが催され、全国各地より観光客をはじめ踊り子がドッと押し寄せ、盛夏の町全体が活気付きます。近年は外国からの観光客も増え、飛騨高山との往来も年々盛んになっているようです。
第15組は、隣接する第13組と第14組との「郡上連合組」で、毎年様々な事業が行われていますが、その中の一つとして「郡上夏の集い」が郡上教会で行われ、地元の小学生とお寺さんが1泊2日で交流をしています。そのような環境が手伝ってか、常日頃からお寺と郡上市民との関係が深く、土徳としてお寺への関心も高いようです。
このたび取材で伺ったのは、地元の書道を学ぶ高校生有志に「お寺の法語ポスターを書いてもらおう」という第15組として初めての企画です。事前に組内のお寺さんに掲示板用のメッセージを募集し、集まったものを高校生たちが書写するというものです。当日は、リストに全28種類のメッセージがあげられていましたが、その中から長文や高度な専門用語等々は省かれ、また、高校生自身が心に残るメッセージを自ら選んで書くというスタイルで進められていました。前方のホワイトボードには、「自由に楽しみながら、あそび心いっぱいに余白を生かす」と、書道の先生から部員に向けたアドバイスが大変印象的で、「自ら発する心で書いてもらいたい」という意思が強く伝わってまいりました。今回チーム名「仏ブツ南無ナム」と名付けられた高校生の皆さんは、このメッセージを真っ直ぐ受け止め、伸び伸びと、そして心を込めて全部で68枚を書き上げました。出来上がった作品を拝見すると、法語ではありますがお聖教の言葉はほとんど見られず、むしろ書体自体に部員一人ひとりの独自性が前面に表現され、まさに芸術性を帯びた法語ポスターが出来上がりました。このポスターは、後日、組内の各寺院に2~3枚ずつ配られ、それぞれの掲示板に貼られることになります。
お寺というと、「高齢者の集いの場」という感覚が払拭されない昨今でありますが、今回のポスターの右端に赤帯で書かれた「お寺×高校生」という文字は、おそらく誰の目にも強く映り、若い力がこのような形で表現されたことは、今後の寺院のあり方にも大きなヒントを与えてくれているのではないでしょうか。
機会があれば、是非とも第15組のお寺を訪れ、掲示板をご覧いただきたいと思います。