截金は金や銀、プラチナなどの箔を4から6枚を焼き合わせて厚みをもたせ、それを鹿皮の盤の上で竹刀を使用して細い線状、または丸・三角・四角などに切り、動物のゼラチン質の膠と海藻から採れた布海苔を混ぜた接着剤を使って貼り、様々な文様を描き出す技法です。
この技法は、仏教とともに日本に伝わりました。仏像や仏画を荘厳するための装飾として用いられ、最古のものは650年頃に作られた法隆寺金堂の「四天王像」に見ることが出来ます。
截金の技法は、日本で独自の進化を遂げ、11世紀頃には曲線文様なども截金で描くようになり、その技術は13世紀頃には頂点を極めます。しかしながら、次第に仏教美術の凋落や、截金よりも簡単に扱える金泥技法の出現とともに、截金の技法は衰退していきました。
そして、近世以降、世間ではその名称すら忘れ去られていくなかで、東西本願寺の庇護のもと少数の截金師により伝承されて来ました。東本願寺では、「表補絵会所」の截金師によってその技法が代々伝えられ、特に江戸期に制作された御本尊や御絵伝などに美しく繊細な截金の技法を見ることができます。
東西本願寺の截金師が截金の技法を戦後まで伝えたことにより、截金の技法が途絶えることなく続きましたその後、截金の技法を後世まで残そうと考えた職人達の手によってさまざまな工夫がなされ、茶道具をはじめとした工芸品に使われるようになり、現在では多くの人が截金の技法を知ることとなりました。
映像は、しんらん交流館公開講演会(2022年6月)でお話しいただいた 江里 朋子さんにご協力いただいております。
截金師 江里 朋子さんホームページ https://kirikane.net/
【映像公開】【第70回しんらん交流館公開講演会 2022/6/23(木) 18:00~19:30】江里朋子さんhttps://jodo-shinshu.info/2022/07/25/33979/
協力:平安佛所(公式HPはこちら)