截金(きりかね)の技は、金箔・銀箔・プラチナ箔を数枚重ねて、上から熱することで金箔を圧着させて普通の金箔よりも少し厚い金の紙を作ります。そして、それを鹿皮の盤の上で竹刀を使用して切り分けていきます。鹿皮と竹刀をつかうのは、金箔は静電気が発生しやすく、発生するとしわが寄ったりしてしまうためです。

 そして、両手に細い筆を持ち、片方の筆に金の糸を垂らした状態で持ち、もう片方の手に動物のゼラチン質の膠と海藻からとれた布海苔(ふのり)をふくませた細い筆で線を描きながら、その線の上を沿うように金糸を垂らしていきます。

 この時に、下絵を描かれていません。截金の金の糸はとても細いため、図案を鉛筆などで描くと下絵の線が見えてしまうくらいです。そのため截金師は下絵を描かずに、布海苔をふくませた筆で図柄を描き、金の糸を載せいきます。特に連続した文様を描くときは、ズレやゆがみがあると全体のバランスが崩れるため、職人の技量が求められます。

 金と同じように輝き、美しい文様を描き出す截金の技法は、ご本尊の絵像や木像だけでなく、様々な工芸品に使用され、親しまれています。

協力:平安佛所(公式HPはこちら

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