熊本宇城スマートインターを降りて車で10分程、海東方面に行くと海東小学校の隣にあるお寺が塔福寺。1274年~1281年にかけて元寇の戦い(文永の役)(弘安の役)並びに1293年成立の絵巻「蒙古襲来絵詞」に登場する竹﨑季長氏たちが建立したお寺です。

お寺としての活動は、春彼岸・聞法会・秋彼岸・報恩講・毎月28日に御勤めの会・輪読会があります。

輪読会の様子

この中でも「輪読会」は、何か固くならずにラフな感じで本を読んで皆で話したい、何かできないかとの思いから、昨年の9月頃、毎月4名~6名でスタートしました。現在読み進めている本は『仏教に学ぶ いのちの尊さ』(小川一乘著)。5歳から75歳という幅広い年代の方が参加され、毎回、言葉の意味や話の内容について、参加者同士語り合い聴き合うことを大切にしています。

輪読会は皆で飲食をしながら各自毎日の生活に置き換えて考えるなど、和気あいあいとした雰囲気で開催しています。一人ひとりの悩みや不安や迷い苦しみは千差万別です。その中で少しでも一人でも輪読会をとおして何か気づきや出遇いがあればと思っています。

輪読後の座談会の様子

参加者からは、これまで「自分の思いだけではなく違う人のことを聴くことで初めて気付かされる」、「お寺に足を運ぶ人が一人でも増えて話を聴いてほしい」、「生活に仏教を活かしたい」、「毎日のニュース、毎日の生活の中で自分自身の頭の中が迷路のように迷宮入りするので輪読会に参加させていただいている」などの意見が出され、一人ひとりの気持ちがそれぞれの言葉で表現されていくことはステキなことであると感じています。

輪読会をはじめたことによって、あらためて人と人とが同じ平座に肩を寄せ合い、目と目を合わせ会話して聴き合うことの大切さを教えられました。さまざまな問いが生まれる中、とても「正解」は、見つからないかもしれません。お互いが本を読み、教えを聞き、話をし続けることが、日々歩み続ける原動力になる、そのような場にしていけたらと思っています。

九州教区通信員 竹﨑桂一(塔福寺衆徒)