寺院活性化支援室 過疎・過密地域寺院教化支援では、寺院活性化支援員を派遣し、お寺の現状や課題、要望をていねいにお聞きし、寺族と門徒と一緒に教化の取り組みを考えています。

岡崎教区は、愛知県東部(三河地方)と静岡全県にある別院・寺院・教会と門徒によって組織されています。東西に長く4つの別院、37の組、434の寺院・教会(2023年3月13日現在)で構成されています。

豊田市は、2005年の市町村合併で愛知県全体の17.8%を占める広大な面積を持ち、全国有数の製造品出荷額を誇る「クルマのまち」として知られています。一方、およそ7割を占める豊かな森林、市域を貫く矢作川、季節の野菜や果物を実らせる田園が広がる、恵み多き緑のまちとしての顔を併せ持っています。

このたびは、過疎・過密地域寺院教化支援の支援員の養成のため、事務局含め総勢5名で髙福寺(下山地区)さま、宗恩寺(足助地区)さまで、お話をお聞かせいただきました。

【岡崎教区第30組髙福寺さま2023年3月6日】

髙福寺さまは豊田市の山間部にあり、その屋根は茅葺でトタンで覆われています。境内はとてもきれいに手入れされていました。

緻密な本堂の彫刻や、一枚板の山号の書、馬頭観音の石碑があり、境内のそばの道を馬が荷を引いて歩んだ姿がうかがえます。お寺でしているわけではないそうですが、茶畑もありました。

【なんでもできることは自前でやる】

当日は、中根慶泉住職、坊守さん、ご門徒の藤沢さん、酒井さん、加藤さんがご参加くださり、お寺の状況をお聞かせくださいました。

髙福寺は、延徳2年(1490年)碧海郡重原(刈谷・知立あたり)の重原兵衛が蓮如上人に帰依し、慶顕と名告り、栃立村に建立したのが始まり。70年近く住職が不在であったところに2009年、北海道から現住職家族が入寺し、第21代住職を継承されたそうです。

ご住職は、「さまざまなんでもできることは自前でやる。お支えがしっかりあったこそ、住職が不在でもこのような形でお寺が続いてきている。様々な問題は尽きることはないけれども、ご門徒と協力してすすめている。」とのこと。

ご門徒方は、

「屋根を直し、庫裡を直し、これからどうしようかと。家というよりか、個人とお寺のつながりを篤くしていきたい。」

「思い出すと、15歳までお寺が遊び場だった。お寺でかくれんぼしたり、卓球したり。」

「夏・冬の子どものつどいは大事。子どもが集まれば大人も集まる。そういった関わり合いを大切にしていきたい。」

「常斎(じょうとき・月参りのこと)は大事。なかなか自分たちだけではお内仏に手を合わせることは難しいが、お寺さんがお参りに来ることによってお参りするきっかけとなる。」

「30代、40代はお寺のことにタッチしていない。常斎にきてもらえると、仏さんに向き合うきっかけとなる。」

「モノは手に入る、豊かになったけど精神は貧しくなったのではないか。人との繋がりは希薄。繋がり、目に見えないものを大事にしてほしい。」

「住職がいてくれてよかった。住職の人となりや、取り組む姿ってやっぱり大事だと思う。」

坊守さんは、「北海道から来て、受け入れてくれるのか不安だった。でも、ほんとにみんな温かい人ばかりで受け入れてくださった。そこにすくわれてやって来れた。」

【年中行事】

報恩講、春・秋永代経、修正会に加え、月参り、お盆参り、お取越兼お年始参りに加え、「お陰様の会」という名の月1回の同朋会、報恩講に向けた勤行教室(年5回)、東本願寺奉仕団、相続講員追弔会(第30組)

さらに夏休みと冬休みの子どものつどい、東本願寺子ども奉仕団(第30組)をされていました。

門徒が少しずつ減少する、子どもが少なくなってきている中で同朋の会や勤行練習、子どもを対象とした夏・冬の子どものつどいを行っていくことは大変なこと。どうやって開催に向けて準備をしていかれたのかとても興味が湧きました。(時間不足で聞けず)

【将来に向けて】

門徒戸数がだんだん減少していく中での寺院運営、建物の維持管理について、また、後継者の問題について不安があるとのことでした。

また、①門徒の自宅・寺・地域の集会所で葬儀が執行できるような仕組みづくり、②お寺の将来展望を全門徒に提示して問題を共有する必要性、③髙福寺を将来に残すプロジェクト、を行っていきたいとのことです。

お墓を山から下す方が増えてきたこと、お墓を求める声があったこと、より髙福寺とのつながりを持ってほしいとの思いもあり、デザインを考えて合葬墓を作ったとのことでした。髙福寺さまから宗恩寺さまに移動する最後に、合葬墓を見せていただきました。うさぎと犬のミニ花壇があって、とても親しみやすいいい雰囲気でした。

寺院活性化支援室として、住職が長年不在だったお寺で今のように年中行事が行えるまでにどのようなことがあり、どう取り組んだかということは、是非もっと知りたいと思いますし、他のお寺にも応用が利くのではないかと考えています。改めて、お聞かせいただきたいと思いますし、お寺の将来展望を全門徒に提示して問題を共有するという点では、何らかお手伝いができたらと考えています。