御遠忌事業「百人百話」の組への展開

御遠忌事業「百人百話」
御遠忌事業「百人百話」

富山教区では宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌の記念事業として富山別院で行った「百人百話」という取り組みがあります。「法話は聞くおクスリ」と地元ではテレビCMも放映され、期間中(2015年3月3日~5月11日)は延べ5000人以上の方が聴聞に別院を参詣されました。文字通り、百人の教区内の僧侶によって百話の法座がもたれたもので、教区内の若手育成になればと、多くの若い僧侶が法話を担当したことでも注目を集めました。教区として、この記念事業が一過性のイベントに終わらないように、今後それぞれのお寺で聞法会が開かれることを願っており、今年度(2015年度)は、組への展開と講師育成に取り組んでいます。

 

若手有志の学習会を組が支える

12組では組内若手僧侶が有志で学習会を定期的に開催しています。6年前に始めた「智の会」では、当派の教師養成機関である京都の大谷専修学院長であった故・竹中智秀さんの『教行信証講義』(全三巻)を結成以来輪読しています。学習会の現メンバーは23歳から36歳までの8名。同組の本傳寺の渕上知明さんが教区内の同級生に声をかけたことから始まったそうです。大谷大学時代にやっていた自主学習会を教区に戻ってからも何らかの形で続けたいと、別院や組内の教化事業等で顔を合せる同世代の人たちに声をかけて会への参加を呼びかけました。輪読会は毎月1度開かれていますが、時には『真宗聖典』に立ち帰って『教行信証』の原文を読んだり、それぞれが話題を提供してそのまま座談の場にもなるようです。会報紙も創刊。A3二つ折の素朴な紙面ですが、メンバーそれぞれの日ごろ考えていることを発表する場にしています。また、各寺院の報恩講を紹介しており、同会のメンバーだけでなく、記事掲載寺院にも配付しています。渕上さんは「時には参加者が2名という日もありますが、継続していきたい」と意気込みを語ってくれました。会報紙は今後年4回の発行を目指し同会への参加を呼びかけます。

富山教区では教区から組への助成金を事業ごとではなく、一括で渡しています。教区が組の主体性を重んじ、組が大事だと思った事業に予算をかけることができるようになりました。そこで12組では、人の育成を期して若手有志の学習会に助成することとしました。

智の会の様子
智の会の様子
智の会の様子
智の会の様子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隣組と共同した取り組み「聴聞の集い」

渕上知明さん
渕上知明さん

また、隣の13組と共同した「聴聞の集い」があります。これは年に3回、3月、6月、9月に行うもので、両組の寺を会所とし、それぞれ1日、法座を開くものです。「聞き慣れている住職の法話だけでなく、若さんや他のお寺さん方の法話も聞きたい」という声があって昨年9月から始まりました。12組での集いには13組の2人の僧侶が法話を担当し、13組の集いには12組の僧侶が出向きます。法話を担当するのは住職と若手僧侶。そして特筆すべき点は、法座の後、控室で法話の反省会を行っているとのこと。参加した2人の講師に会所の住職、そして法座を聴聞した両組の僧侶たちが感想を語り合うのです。互いのスタイルを尊重しつつも、時には厳しいアドバイスをすることも。「お互いに求道者として、また念仏申す門徒であることを確かめることが大切です。危機感をもってやっていきたい」と渕上さん。仏法聴聞の場の確保に加え、僧侶自身の研鑽の場となっているのです。

富山教区は特に10月頃から寺院の報恩講参りが始まり、その後門徒報恩講が年末まで続きます。そういう中にあって一カ寺一同朋の会の実現はなかなか大変です。そこで「組同朋の会」(年3回)を立ち上げたり、組内の各寺の報恩講や永代経等の法要の日をずらすことによってどこの門徒でもお寺の法座に参詣できるようにしているとのこと。黒部地区では推進員の聞法の場として「推進員の集い」(年6回)を開催しています。そして、これらの聞法の座への講師には組内の若手僧侶を積極的に起用しているのです。

こうした若手僧侶たちの研鑽の場を組が支えることによって少しずつ世代交代がなされています。真宗の土徳が豊かな北陸の地も念仏相続の危機が叫ばれる昨今、これからの宗門を担う若手たちに期待が集ります。

12組・13組「聴聞の集い」
12組・13組「聴聞の集い」