親鸞聖人は念仏する人を、「御同朋」と、温かいこころ、尊敬のこころを込めて呼んでくださいました。
その聖人が、「ともの同朋」にもねんごろのこころを持ち合おう。互いに励まし合って、この世の厳しさに負けまいぞとおっしゃった。そして、ともに如来大悲の恩徳のなかに生きる喜びを語り合い、励まし合って大切に生き、如来の教えをこの世の光として、世の人たちに捧げていこうではないか。こう願ってくださっているのです。
念仏を、そして往生を願うということを大切に思うにつけて、その「しるし」がこのように具体的に示されていることを、聖人の熱い願いとして、私たちは忘れてはならないと思います。
念仏する人は他人ではない。浄土の家族に加えていただいた兄弟・姉妹なのだ。
この温かい念仏の集まりを、どうしても実現し、体験していかなければならない。そういう願いが、聖人から私たちにかけられていることを、また改めて思うことでございます。
親鸞聖人から「御同朋」と呼ばれる意味深さを思うにつけて、聖人が「ともの同朋にもねんごろのこころを持ち合う」ことを、信心のしるしとし、「往生を願うしるし」と語られたことの大切さを、思います。
よくよくこのことをお考えくださいますようにという、親鸞聖人のこの一言を、聖人の切実な願いとして、真宗門徒である私たちは、肝に銘じていただいていかなければならないと思います。
『真宗』(東本願寺出版部)から・寺川俊昭(大谷大学名誉教授)
『真宗の生活 2007年(11月)』
※『真宗の生活2007年版』掲載時のまま記載しています。