草野顕之教授による説明に耳を傾ける聴講者
草野顕之教授による記念講演会

今月13日より始まった大谷大学博物館2016年度特別展「戦国乱世と山科本願寺」。その記念講演会が15日(土)同館メディアホールにて開催されました。

東山の向こう洛東山科の地は、かつて、本願寺第八代蓮如上人の建てた本願寺を中心に、戦国時代屈指の宗教都市が形成され、都と並ぶほどの繁栄を誇っていたそうです。講演は「山科本願寺・寺内町の創立と終焉」と題し、その成り立ちから衰退までの歴史を、山科本願寺跡調査の際の写真や史料を用いながらお話くださいました。

土塁で囲まれた寺内町

山科本願寺を中心に、内寺内(うちじない)外寺内(そとじない)と寺内町が広がりますが、戦乱の世にあったため、土塁(どるい)(写真2)を築くことによって線引きし、内側からは見張りをしやすく、外側へは攻撃しやすい構造にし、敵の侵入を防いでいたとのことです。

山科本願寺・寺内町
(写真2)山科本願寺旧跡図(大谷大学博物館蔵)のスライドを用いての説明

土塁の最も内側が本願寺。その境内には、大門があり、大庭があり、御影堂・阿弥陀堂の両堂、寝殿、香部屋といった公的な施設はもちろんのこと、馬屋、客殿、お風呂といった私的な施設も造られていました。

こうした施設の跡が、山科本願寺跡の発掘調査により確認され、その際発掘されたお風呂の写真なども、スライドを用いて紹介されました。

当時の暮らし、本願寺の立ち位置などが想像され、展示を一層深く楽しめる講演会となりました。

実際に歩いてみるイベントも開催

現在は発掘調査も終え、民家が立ち並ぶ山科本願寺周辺ですが、講演のお話を伺い、展示を観覧すると、実際に歩いてみたくなります。そうした聴講者・観覧者の気持ちに応えるイベントとして、来る11月13日(日)、草野教授を案内人として実際に土塁をたどるフィールドワークが開催されます。

講演中、印象に深く残ったのは、「なぜ蓮如上人は山科に本願寺を築いたのか」という問いでした。現在、東山を分岐に、山科の地は京都市内でありながら少し離れた印象がありますが、蓮如上人は「京都の本願寺」として山科を選ばれていたことが史料から浮かび上がってきました。離れているように感じていたのは、自身の浅学ゆえだと痛感した次第です。

その問いを尋ねる機会として、「戦国乱世と山科本願寺」展、およびフィールドワークに、ぜひご参加いただきたい!そう強く感じる記念講演会・展示でした。

▶ 大谷大学博物館(HPに移動します)

 【開館案内】

【開催期間】
~2016年11月28日(月)

【開館時間】
午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)

【観覧料】
一般・大学生/500円

【休館日】
日・月曜日[ただし、11月21日(月)・27日(日)・28日(月)は開館]

【フィールドワーク】  ~ 満員御礼!募集終了 ~
「山科本願寺跡を歩く」(先着20名)

案 内 者  草野 顕之 氏(大谷大学教授)

日  時  11月13日(日)午後1時30分~3時30分

場  所  山科本願寺跡周辺

参 加 費  500円(資料代+保険料)

応募方法  往復はがきに「氏名・住所・当日連絡可能な電話番号」を記入の上、大谷大学博物館まで郵送(はがき1枚につき1名)

送 り 先  〒603-8143 京都市北区小山上総町
大谷大学博物館 宛