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札幌別院北三条支院 100周年にむけた取り組み(ワークの取り入れ方)
2018年5月29日(火曜日)開催
インタビュー: 青 木 悟 人 (札幌別院北三条支院主任)
聞 き 手 : 橋 本 真 (北海道教区駐在教導)
札幌別院は、2021年に創立150周年を迎えます。それに伴うように、市内に6つある支院も大きな節目を迎えます。
札幌駅から東に5分ほど。複合商業施設「サッポロファクトリー」のすぐ近くに北三条支院はあります。サッポロファクトリーはサッポロビールの工場跡地を再開発した施設で、年に700万人という多くの人でにぎわう場所です。
この支院も2022年に本堂建立100周年を迎えますが、いよいよ準備に取り掛かる時期に主任として4月から着任された青木悟人氏に、ワークショップを行った経緯とその内容をうかがいました。
※札幌別院北三条支院主任の青木悟人さん
■どういうところから取り組まれたのでしょうか?
北三条支院は、本堂建立100周年を迎えるに当たり、老朽化した建物立て替えも検討しなければならない状況にあります。
そのとき、ハード面、ソフト面、両方にわたって、どういうお寺にしていくべきなのか。着任して間もないこともあり、私ひとりの思いだけではなく、ご門徒の意見をきちんと受け取って進めていかなければならないと考えていました。
そんな折、札幌別院で寺院活性化支援室の取組みとして5月16日に、大江企画調整局次長から実際にワークを紹介してもらいました。受講してみて「支院でやってみたい!」と強く思い、さっそく実施してみたのです。
■どんな方に声をかけたのでしょうか?
婦人会や、責役、総代といった役員の方々、それに世話方が中心となって集まってもらいました。60代の方が多かったですね。
■実際に、どのようなことをなさったのでしょうか?
私が入る主任班、そして、連れ合いが入る坊守班(北三条支院は主任の配偶者が坊守として位置付けられています)、そして、補佐班の3班に、くじ引きで分かれてもらいました。
それぞれの班で、支院の「強み」と「弱み」を思いつくままに出してもらい、それを踏まえて、お寺に来てもらうためにはどういう「ご縁づくり」が必要かということを話し合ってもらいました。そこからより具体的な「アイディア」へと展開しました。出された主な意見はこのようなものです。
強み
歴史がある・立地がよい・内陣の荘厳が立派・仏事に関して詳しく教えてくれる・地域に根差している・体験談などに基づくよい法話が聞ける・お寺らしいつくり・本堂が一階にある・婦人部がしっかりしている・夏が涼しい・マンションが増え、人が増えている
弱み
駐車場が少ない・お寺の全体が見えない・目立たない・段差が多い・スロープがない・水回りの老朽化・会場使用料などの料金が分かりづらい・近くに住宅が少ない・寒い・納骨堂が狭い・エレベーターがない・屋根に問題あり・間口が狭い・看板が見えにくい
ご縁作り
葬儀で使いやすくする・駐車場を地下に造る・敷地を広くする・常駐の僧侶を置く・大きな納骨堂をつくる・お通夜の法話でご縁づくり・場所の開放・控室、ロッカーを設ける・家族でお参りに来てもらう・コンサート、落語を開催・絵手紙、書道教室・朝市・子ども食堂・お寺が近くにあることを周知・子ども会・シニアサロン・基礎講座・行事案内を丁寧にする・コミュニケーションを大切にする・他団体とのコラボ・いい法話が聞けることを広く知らせたい・一緒にお勤めしてもらう・精進料理、男の料理教室・葬儀、法事でお寺を手伝ってもらう・合葬の場をつくる
アイディア
バリアフリー化・機関紙発行・子ども会・定例などの時、軽い体操を入れる
報恩講の案内をしっかりとする(なぜ勤めているのか、何をしているのか等)
次の世代、若い世代への宣伝・外国の留学生への案内
親と一緒に子供に来てもらう・
宿坊をつくる・懇志金の早めの呼びかけ・
地下駐車場・本堂を暖かく・葬儀用の控室をつくる・高齢者用マンションを作る
出された意見を確認して、最後にジンギスカンをやりました。
■出された意見を受けて行動されたことは?
早速、緊急度が高いもの、ハードルの低いものから取り組みました。
具体的には、
①「北三條支院たより」創刊準備号の発行
②すでに納入していた新納骨壇をあらためて周知するためチラシを作成(1000部)
③支院を葬儀・法事に使用してもらうための案内を作成
の3つが挙げられます。
①については、門徒さんにレイアウトなどが得意な方がおられて、その方に協力をいただきました。
※クリックするとPDFページが開きます。
③については、もともと6支院の共同教化会である「支院会」で葬儀法事に支院を使用してもらうように取り組んでいました。その取り組みにあらためて合流するかたちで実施しました。
また仏具店より協賛をいただきチラシ作成の費用とさせていただきました。広告の内容も、切子燈籠にしてもらうなど、教化のひとつの手立てとなるようにしました。
■ワークを取り入れたことで得られた効果は?
みなさんが、私が想像していた以上に北三条支院のことを思っていてくださったということに気付かされたことがあります。
記念事業をしていくうえで、みなさんに「我が寺」と思っていただくということを密かなテーマとして思っていたのですが、そこにもうすでに「我が寺」と思っていてくださっている方がおられて、その方々に出会えたということです。
また、どうしても縦割りになっていてなかなか接点を持てなかった方々が交流する場になったと思います。
婦人会は婦人会で、役員さんは役員さんだけとなっていたものが、1つの目標を掲げて話し合っていく中で、共通感覚が醸成されていく実感がありました。縦割り状況を打破する1つの大きな手立てですね。この勢いを保ちながら100周年まで進んでいきたいと思います。
(おしまい)