2017年7月しんらん交流館内企画調整局に設置された寺院活性化支援室。これまで支援員となるための講習をしてきました。このたび、2018年10月11〜12日高山教区内のご寺院にお願いし、過疎・過密寺院支援担当の講習の一環として現地学習をさせていただきました。

平成30年7月豪雨。被災されたみなさまに心よりお見舞い申しあげます。

全国的に大雨が降りつづき、この高山教区でも土砂崩れや農地の崩壊、住宅への浸水などの被害が発生しました。JR高山本線も被災し、現在も一部区間で不通が続いています。

10月11日は、道中まだ道路や線路で被災の傷跡が見える飛騨市宮川町三川原の寳林寺にお伺いしました。

高山教区 吉城組 寶林寺

IMG_5988ご住職:宮川宏志さんをはじめご門徒5名にご協力をいただき、お寺の周辺状況、寺院で行われている教化活動、ご門徒・地域との関わり、郷里を離れたご門徒へのはたらきかけ、お寺の大事にされてきたこと、寺院活性化支援室の取り組みで必要と考えられることなどお聞かせいただきました。

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寳林寺は天文9年(1540年)に開かれたとされ、明治30年頃大野郡丹生川村平金鉱山の全盛期には、その地に説教所を置き説教や葬儀を執行していた記録のあるお寺です。

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宮川町は寳林寺も含め7か寺あり、生活必需品は車で約30分の飛騨古川町まで買いに行くとのこと。若い人は仕事を求め、飛騨古川市・高山市・富山県・岐阜県・愛知県に出ていく。冬は雪が120cmは積もる地域とのこと。

ご門徒のお話では、「昔はお寺が遊びの拠点だった。走り回ったり、かくれんぼしたり、鬼ごっこしたり、自分でゲーム作ったり。思い入れのある場所だ。」、「10年以上前は子ども会もやっていた。今は子どももいない。かつてあった小学校は5kmの小学校と統合したが、児童が15名ほどだと思う。」とのことでありました。

そして、お寺独自の取り組みとして、伝統的に1月に門徒で取り組む報恩講「おひちや報恩講」、3月にお寺で取り組む報恩講を行っているとのこと。「おひちや報恩講」では法要の案内から段取りまですべて門徒で行うとのことでありました。また、年忌法要をお知らせするために、本堂に各ご家庭の年忌法要日を貼り出していらっしゃいました。

ご住職・ご門徒の思いとしては、いま行っている報恩講・彼岸会・高山別院ののご回壇を大切にし、お寺で子ども会を行うことが難しくても、行っているところにつないでいく。そして、「顔が見える関係」「家庭的なつながり」「まとまりがよい」「人情があつい」「今も獅子舞など伝統行事が住民だけで行われ続けているなど地域を大切にする思い」を大切にし続けていきたいとのことでありました。

最後に、ご住職は、年数回の「寺報」、「一緒に語り学んでいく寶林寺のつどい」、「岐阜教区と高山教区が合併となるが、高山別院を拠点として、今まで以上に活動が盛んになって欲しい。」と語られました。今後についてはあらためてご相談しながら、進めていきたいと思います。

10月12日は、下呂市萩原町尾崎のの永養寺にお伺いしました。

【高山教区 益田組 永養寺】

IMG_8817ご住職:旭野康裕さんをはじめご門徒2名にご協力をいただき、お寺の周辺状況や教化活動、ご門徒・地域との関わりやお寺の今後について、寺院活性化支援室の取り組みで必要と考えられることなどお聞かせいただきました。

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永養寺は明応3年(1662年)に開かれたとされます。鐘楼堂の脇には樹齢推定500年超といわれるしだれ桜があり、下呂市指定天然記念物に指定されています。

IMG_8840永養寺のある下呂市萩原地区の人口は横ばいで、ご門徒は下呂市内に集中。住職ご自身は2000年の住職就任まで一般企業で働いていたとのこと。学びの中で、宗派の「ハンセン病の取り組み」を知り、その活動に携わっていく中で宗祖親鸞聖人の教えにであっていったと語られます。

永養寺では毎年寺報『永養寺だより』を発行し、その活動の様子を写真と文書で広くご門徒に伝えておられ、永養寺教化委員会、チーム永養寺(ボランティア活動・保養事業・ハンセン病療養所訪問)、ささゆりの会(女性の会)、不定期の子ども会などその活動は多岐にわたり、ご門徒、地域の方々とともに活動をされています。また、地域の唱歌の会である桜の会がお寺を使って活動しているとのことです。

ご門徒のお話では、「宗派の発行物が専門用語が分からないような方が読んでも、なるほどと思えるようなものにして欲しい。」、「宗派、別院の行事でも発行物でも、まず、門徒が所属のお寺に足を運びたくなるような、お寺に行かないといけないと思うような視点を持って作りあげてほしい。」、「みんなでお寺、別院、本山を支えているということが見えるかたちにしてほしい。」、「門徒・住職・本山、少しずつ違う方向を向いている気がする。同じ方向を向きたい。」とのことでありました。

ご住職からは、「対象・最優先していること・どんな結果を生もうとしているのかを見えるかたちに!」、「支援した後のアフターフォローをしっかりと!」、「組織は長年続けると疲弊する。いい意味での効率化と再構築の視点を持って!」、「みんな悩んでいる。職場や家庭など身近な問題も含め、現代社会の問題に応えていくような場づくり!」、「僧侶ばかりでなく社会の方々、専門家との連携を!」、「お寺の民主化。」、「次の方途を行うための積極的撤退。」、「お寺に住まう住職・坊守・寺族がそもそも生活を楽しめるようになったらもっといいお寺の活動ができる!」等などご意見や要望をいただきました。

そして最後に、「昔は否定してたけど、〝伝統”って大事だなと思えてきた。そして、〝組”は運命共同体。あのお寺が倒れれば、ここのお寺も危ないと思う危機感がいる。のんびりしている時間はない。」、「型は大事だけど、型にはまらない、型にはめない、昔からのお寺のイメージの〝維持”と〝打破”のバランスが大事だと思う。」とおっしゃられました。

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永養寺さまでは子ども会の他、様々な行事の記事や写真が本堂に掲示され、『永養寺だより』とともに「見える化」がはかられています。
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明治30年頃から大正6年頃まで大野郡丹生川村平金鉱山の説教所に安置され、現在、寶林寺ほ本堂の余間に安置されている御本尊です。

真宗大谷派の寺院約8,800か寺。8,800とおりのお寺のあり方があります。支援員として活動するうえでの講習の一環として、お寺の現場でのことをお聞かせいただきました。ちょうど各自での報恩講が行われてお忙しい中、住職・門徒・坊守さま方にご協力いただきありがとうございました。