紙芝居と音楽で教えを伝える「光善寺念仏一座」
親鸞聖人のオリジナル紙芝居を、楽器による演奏、効果音を用いて上演する「光善寺念仏一座」。一座のメンバーは、光善寺(久留米教区八女第3組)の住職に娘さん夫妻、そして門徒さん。メンバーそれぞれの親鸞聖人との出あい、そして念仏申すことの意味を、台詞に、演奏に、そして紙芝居の絵に込めて上演されています。この日は稱讃寺(久留米教区筑前西組)婦人会の総会での法話として依頼されたそうで、191回目の講演とのこと。婦人会の会員による拍子木を合図に、いよいよ開演です。
■光善寺念仏一座制作「音楽紙芝居 しんらんさま」
「なーむーあーみーだーぶー♪」
歌声が響き、堂内は紙芝居の世界に引き込まれていきます。
登場人物の台詞や音楽が加わることで、物語の奥行きが深まり、親鸞聖人の御生涯の一幕一幕を目の前で見ているようです。
法然上人との出あい、越後での暮らし、山伏弁円や当時の人々と親鸞聖人との出あいのエピソードなど、それぞれの心情が伝わるように演じられます。
使われている紙芝居は、なじみ深い親鸞聖人の御生涯を題材にされたものをもとに、一座で改良を加え作成されたもの。曲や歌も作成されたもので、上演をする中で「足りない」とメンバーが感じたところに、絵や台詞、効果音を加えるなど、改良を重ねてきたものです。
プロジェクターとスクリーンを用いることで、紙芝居の絵は大きく映し出されるので、本堂内の後ろの席の人がよく見えないということもありません。音響の調整を含めた設営も一座が行いますので、一座を招く側も参加者として最後まで落ち着いてこの場に同席することができます。
念仏一座の現在のメンバーは、木屋住職(ミキサー、ナレーション)、よしこさん(親鸞聖人役)、みきティー(キーボード、法然上人役)、チーボー(パソコン、恵信尼役、効果音、紙芝居の絵を担当)、木屋住職の娘さんであるらんさんは、現在育児休暇中。そのかわりに夫である祐真さんが加わり、尺八の音も加わることになりました。現在、5人で上演されています。
「光善寺念仏一座」という名前も、10年前に上演したお寺の住職が紹介された名称をいただいたそう。
1回1回の上演の中に、メンバーや会場の息遣いを感じ、「お念仏の大切さ」が伝えられる紙芝居の上演は、まさにその名のとおり「念仏」の一座だと感じました。
■「法話コンサート」
紙芝居の上演後は、「法話コンサート」が始まります。ここでも、プロジェクターで歌詞が映し出され、曲にまつわるお話や歌詞の解説を加えながらのコンサートです。
「しんらんさま」(歌:島倉千代子 / 作詞:滝田常晴 /作曲:古関裕而)や、宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌テーマソング「今、いのちに目覚めるとき」(作詞:茨田通俊/作曲:清澤久恵)など、聞きなれた曲も、解説やメンバーの思いが語られることで、その歌詞の意味をあらためて味わう時間となっていました。
また、曲の合間には、メンバーの紹介があり、印象的だったのは、単なる自己紹介ではなかったということ。念仏一座のメンバー1人1人が、自分自身と親鸞聖人の教えとの出あいや、念仏一座の上演をとおして伝わってきた言葉との出あいを、「感話」として丁寧にお話しされていきます。
この日は上演会場となった稱讃寺坊守の恵美子さんとメンバーが学友であったことから、学生時代のエピソードもユニークに紹介され、念仏のもとにつながるご縁を感じる場となっていました。
最後は音楽法要曲「回向」で締めくくられます。スクリーンに映された「回向」の文言と、歌詞。
木屋住職の
「安楽国に生まれよという阿弥陀仏の呼びかけに、お念仏で応えて生きる者になります。と宣言する」
という解説に、日々のお勤めでなじみ深い「回向」の言葉にうなずく人々の姿がうかがえました。紙芝居、そしてコンサート、という新たなかたちにより、伝えられてきたものを堂内に集う人とともに「法」を確かめ、噛みしめるひとときとなっていました。
稱讃寺の婦人会では、今後、合唱団結成に向けての動きもあり、音楽法要で歌う曲のイメージを伝え、その歌詞の意味を伝える場にもなっていました。
親鸞聖人のご生涯、そして念仏を音楽や歌で味わってほしいとき、光善寺念仏一座の音楽紙芝居をご覧いただきたいと思います。
(文:企画調整局)
► 申込み・問い合わせ
光善寺念仏一座(こうぜんじ ねんぶついちざ)
連絡先/光善寺(こうぜんじ) 福岡県八女市黒木町木屋1774 ☎0943-42-0374
開 催/お寺や公民館、療養施設等で、毎月1~2回上演中
料 金/要相談
その他/楽器・機材などは一座が用意。依頼があれば全国各地に伺います。
►月刊『同朋』誌(2014年9月号)
※光善寺念仏一座が紹介されています。