国の法律で「過疎」「みなし過疎」「一部過疎」と認定された地域などに講師を派遣し、「真宗の教え」に親しんでいただく「お寺に寄り添う講師派遣」
2019年2月25日 旭川の泰巖寺でお寺の「今」とこれからを考えるワークショップを開催しました。泰巖寺さんは2006年江丹別から春光台に本院を移転し、寺院活動されています。
2018年12月末、寺院活性化支援室にお電話がありました。「2002年の住職継職を機に復活した婦人会の活躍により、参詣者も増えて元気なお寺となった。しかし、寺離れ、一人暮らしの家庭が増える中で家族や地域で世代交代(お寺への関わりの)がうまくできず、急激に参詣者が減ってきている状況にある」とのことから、2019年1月10日、過疎・過密地域寺院支援担当の支援員がお寺に訪問して、まずは“寺院活性化支援室 過疎・過密地域寺院支援”の説明とお寺の状況(歴史・法務・教化活動・お墓や納骨堂・地域性・広報など)の聞き取りを行いました。
そして、一度お寺についてざっくばらんに話をする場を持ってみたいとのご意見から、ワークショップ(元気なお寺づくり講座の中で行う外部環境分析)を行うこととなりました。
12:00
泰巖寺の住職、坊守、若院、責任役員、総代、婦人会のみなさま総勢15名。2班に分けて始めます。寒い旭川だから早めに始めようと12時開始。テーブルにはお菓子と早い昼でお腹がすいた時のために坊守さんの手作りパン。
【自己紹介をしてみよう】
お互いに知っているつもりでも、意外と知らないこともあります。
A4の紙を1枚ずつ配り、フセン1枚に一つづつ
①お名前、②住んでいる場所、③自分の色は例えてみたら何色?、④最近はまっていること、⑤今日のお気持ちを書いていただき、班ごとに一人1分間で自己紹介をしていただきました。
「今日は燃えているから自分の色は赤」「心のうちはグレーよ」
「韓流ドラマに今頃はまってる」「かけごとが好き」
「どんなことがやれるか楽しみ」「よくわからんけど、誘われたから来た」「特にない」
など
【お寺を取り巻く環境と、受け手の変化を考えてみましょう】
人口減少、おひとりさまの増加(単身世帯の増加、世帯の分散)、転居したご門徒とお寺の関係性の変化、過疎市町村の分布、寺院活性化支援室の目指すもの
なんとなく分かっていることを、統計資料などを用いて確認し、お寺の周りで起こっている変化を確認しました。
13:00
【休憩タイム】
ここで、門徒さんの作ったカボチャを使った「カボチャプリン」の登場。甘さ控えめで美味しい!
13:15
【お寺の「今」と「これから」を考える 外部環境分析ワークショップ】
「元気なお寺づくり講座」の第1回で行われる「外部環境分析」ワークショップを行いました。
“お寺を囲む状況はどうなっているか。それは今後どう変化していくか”
①模造紙、ふせん(青、赤)、ペンを用いて、泰巖寺さんにとっての「機会=チャンス」「脅威=ピンチ」を各自書き出していただきました。
その後、
●社会変化●お寺界●生活者(門徒・地域)●他宗派●企業・サービス
の5つのボックスに分類していきました。
一度、お寺根室別院ジーンプロジェクトになぞらえて、「お寺ジーン」プロジェクトといってフセンを用いいて、お寺のイイところを書き出すことを行なったことがあるそうで、やり方に少し慣れていらっしゃいました。
どうしても「脅威」が多くなりがち。だからこそ、機械を積極的に書いてみようとされる方、脅威は裏返って機会に変わるからと言われている方。しゃべりながら考える方。
そして、
②なぜ機会か、脅威かを話しながら5つのボックスに分類していきました。「へー、そんなこと考えてたの?」という声も挙がりました。
●損得のない仲間づくりがしたい
●住職さん、若さんの法話を聞くのが好き
●みんなでご飯を一緒に食べられるっていい!一人暮らしだったり、仕事の都合だったりなかなか家族でも食べられない。
●お寺の男性のお参りって少ない。でも、葬儀の喪主は男性が多い。いつもお参りしてない人がなんでって思ったことがあった。
●お参りは家の代表者が誰か行くってことになんとなくなっていないか。
●お勤めも大事、法話も大事、しゃべってコミュニケーションをとることも大事。
●お坊さんと話してみたいという若者がいる。(坊さんのいるbarを一緒にやらない?との誘いあり)
●仏教は聞きたいけど、門徒になるのはやだって人もいる。
●どこに所属するということではなく、誰から聞きたいかと言う時代になると聞いたことがある。
14:15
【休憩タイム】
ここで、頭をリフレッシュ!ミニおにぎりの登場!
14:30
その後、
③5年後の未来を考えた時、特に注目すべき環境の変化を3つに絞り込み、発表を行いました。
A班からは、●世代交代● どう門徒とつながるか=コミュニケーション●男性のひきこもり
B班からは、●門徒の減少●仲間づくり●年金生活者の増加=お金が無い
⭐️コミュニケーション⭐️次世代への相続に関心の高い発表となりました。
15:00
そして、最後に
④他の班の書いたフセンと話しをもっと知るために、A班とB班の模造紙と班員を一人交換して、どんな話がされていたか確認し合いました。
「関わりを分断するような社会にある。しかし、関わるって結構なエネルギーがいることだよね。」
「つながりって大事。つながりを作るって難しい。」
「そういえば、子どもが減れば、親戚も減るね。」
「お寺にふらっとお茶のみに来るような人が増えるとイイな。」
「おじいさんも、父もお寺は大事だと教えてくれた。それに習って、自分もお寺には足を運ばなきゃいかん。お寺でやることには関わらないといかんとやってきた。」
また、新たな話が生まれました。
今日は、集うみなさんが思っていることをフセンに書いて、自分以外の方にお話しできる機会となりました。
「あ、そんなこと思ってたんだ。」、「口では今まで言われなかったけど、大事に考えていてくれたんだ。」、「意外にお寺そのものをどうしたらいいのかって話したことなかった。」
いつもと違うことをやってみると、違った発見があったようです。しかし、一方で慣れてないこと(言葉や進め方)はなかなか難しいとのご意見もありました。もっと話したいけど時間切れだったという方もいらっしゃいました。
寺院活性化支援室とお寺を考える取り組みは2回目。今回のワークショップを経て、次はどんな展開になるのか楽しみです。
寒く、雪の川。ここ数日は雪が少なく除雪も進み、1車線だった道が2車線になったそうです。だんだんと、北の大地も春へ向かっています。
【お寺エピソード】
「お寺を移転して、もし、誰も関心寄せてくれなかったらどうしようか?不安になる。」
「そうだね。その時は、まず私たち2人が門徒になればいいじゃない。」