真宗大谷派(東本願寺)では、宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃事業の5つの重点教化施策の一つとして、「真宗の仏事の回復」を進めています。朝夕のお勤めや報恩講をはじめ、通夜・葬儀・法事などのあらゆる仏事が、御本尊を中心とした仏法聴聞の場として回復していくための取り組みです。ここでは各教区の動きを紹介します。

リーフレット「ご命日に聞く―あなたと私の対話の日―」(2020年3月発行)

北海道教区教化委員会 第7期教化本部 同朋教化部門企画部会
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《リーフレット作成にあたって》

北海道教区報『北海真宗』では、「~ご命日に聞く~」と題して、大切な方を亡くされた6名の方から、ご命日を縁に、その時のお気持ち、その後の歩みについて話をお聞きした特集記事を掲載しました(2018年11月号~2019年4月号、北海道教区教化委員会 第7期教化本部 同朋教化部門企画部会)。

 

リーフレット「ご命日に聞く―あなたと私の対話の日―」は、その中から心に残った言葉を選定してまとめたものです。

  愛しい方を亡くされた有縁の方々に、家の中に居るべきはずの方がいなくなられたその空間で、ふとした時に目にしてほしい。また、僧侶がお参りに伺った際に、そうした方との会話の一助になればと作成しました。

 

《あなたにどんな声が届いていますか》

リーフレットの作成は、身近な人を亡くした所属寺のご門徒さんや有縁の方々から、その方のお人柄・生前の様子・亡くなった時のこと、そして“ご命日”をどのようにお迎えしているのかを、真宗大谷派の僧侶である部会員それぞれが聞き取りを行い、それを持ち寄り、語り合うところから始めました。

 

ご遺族のお気持ちに寄り添い、傾聴するということは、僧侶が日々の法務でやっていることと変わらないことかもしれません。しかしながら、あらためてお話を聞くことにより、私たちが気づかされた点は多々ありました。

 

「まだ 明日も会えると 思ってたんだ」

「住職行く家 みんな誰か 死んでんのか 俺だけじゃないんだな 辛いのは」

 

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大切な人を想う「声」を集めました

 

取材をさせていただいている時、ある言葉をきっかけにして、場の空気が変わったこともありました。またその中には、ある箇所だけ詳細に饒舌に語る方もいらっしゃいました。お一人おひとりが抱いている思いを肌で感じさせていただきながら、それは、あらためてお聞きしなければ分からない、驚き、気づき、悲しみでもありました。僧侶や寺に住まうものが皆さんから願われていること、そして、僧侶や寺に住まうものが皆さんに伝えたいこと、その橋渡し役としての一助になればと思います。

 

制作会議の様子

制作会議の様子

みなさまのお手元に~発送

みなさまのお手元に~発送

リーフレットでは、宗祖親鸞聖人の御命日についても短くご紹介しています。また、デザインは部会員が担当し、押し花をモチーフに温かみとインパクトのある雰囲気に仕上がっています。

 

《教務所担当者より》

作成にあたり、会議では毎回遅くまで内容に関した意見交換を行いました。時には、会議終了後の懇親の場でも、その内容について熱く語り合われました。

 

今回、聞き取りをしたご遺族の心情や、互いの思いなどを、想像力を働かせながら熱心に聞き合う僧侶たちの姿がとても印象的でした。また、デザインを担当した方には、趣味だと言いながらも、何通りものデザインを作成いただき、本当にどれも甲乙つけ難いものでした。

 

宗門において、「真宗の仏事の回復」ということを重点施策としていることは、失ったものがあるからこそ、“回復”をテーマに掲げているのでしょう。そこには、寺離れや仏事の衰退に対する懸念、危機感があるからに違いありません。

 

しかしながら、そのピンチをチャンスと考え、少しでも門徒さんをはじめさまざまな方々との距離を縮め、コミュニケーション不足を打開する一つのツールとして、このリーフレットが役立てばと思います。

 

各寺院の同朋の会やお講、研修会などの際にこのリーフレットを活用し、ご命日や人間の生死、人生などについて考えるきっかけとなることを切に願います。

 

◆リーフレット「ご命日に聞く」はこちらからダウンロードいただけます。ぜひご覧ください。

親鸞Web | 真宗大谷派 北海道教区 教化本部のホームページ

(北海道教務所)