東京教区教化委員会 主催 企画調整局 寺院活性化支援室 協力
2020年度「東京教区伝道講習会」学習会「業縁の会」
期 日 2020 年12月8日(火)
会 場 Web 会議サービス「zoom」
テーマ 『歎異抄』異義編に学ぶ
道場長 本多 雅人 師(東京教区東京2組蓮光寺)
講 師 松井 憲一 師(元大谷大学非常勤講師)
対 象 伝道講習会修了者(1期~21期)及び次期参加予定者
参加者 33名(スタッフ・事務局含む)
日 程 13:30 受付(zoom入室可能)
14:00 開会 勤行
道場長挨拶
14:20 講義①
15:20 休憩
15:40 講義②
16:40 質疑
17:30 閉会
松井憲一師(しんらん交流館・京都)
伝道講習会スタッフ(真宗会館・東京)
<東京教区伝道講習会について>
東京教区伝道講習会とは、1985年度(第1期)から現在(第21期)まで途切れることなく続いている東京教区の伝統的な事業の一つです。若手寺族が教区事業に参加するにあたって、教区内の先輩方から「若いうちに伝道講習会と教学館(若手寺族の研修機関)は参加するべきだ」と言われることもあり、教区教化事業に携わっている多くの方々が、この伝道講習会に参加されています。
伝道講習会は、一過性の事業として留まることなく、継続的な学びの場を開き続けるために、現在は以下の事業を開催しています。
伝道講習会(本講座) ※隔年開催
真宗会館での半日の事前学習会(本講座の約1ヵ月前)ののち、群馬県吾妻郡中之条町・沢渡温泉の宿を会場に、5泊6日にわたり聖教(現在は『歎異抄』の前半部分である師訓篇を中心とした学び)と、現代の諸問題にも目を向けることを通して、自己と向き合うことを大切にして、全文筆記による法話を作成。翌週に東京都内の寺院を会場に法話実習を実施。
修了者研修 ※隔年開催
同じく沢渡温泉の宿を会場に、伝道講習会修了者を対象として、各寺院での現場を通しての学びや課題を確かめる場として2泊3日で開催。日程中、参加者数名より法話、そののちに法話に対しての合評(話の組み立てや内容が相手に伝わったかどうかを参加者全員で評する)を実施。
学習会「業縁の会」 ※毎年開催
伝道講習会(本講座)では、『歎異抄』師訓篇を中心として学んでいるため、継続的な学びの場として、伝道講習会修了者と受講志願者を対象とした『歎異抄』の後半部分である異義篇に学ぶ会として2日間に亘り開催。
〇〇期のつどい ※本講座の約半年後に開催
本講座開催から約半年後に、本講座参加者を対象として、各寺院での現場を通しての学びや課題を確かめる場として開催。
<今年度の「業縁の会」開催について>
「業縁の会」は、伝道講習会修了者と受講志願者を対象として『歎異抄』異義篇に学ぶ場として、2013年度から毎年開催されています。例年は2日間に亘って開催されますが、今回は新型コロナウイルスの影響を踏まえて、オンライン会議システムを利用して、半日の日程での開催となりました。
当日は、企画調整局寺院活性化支援室に協力いただき、松井先生はしんらん交流館(京都)から、スタッフは真宗会館(東京)、参加者は各所から参加するという方法で、各場所をオンラインでつなぎ、学びの場が開かれました。
開催にあたり、本多道場長からの以下の呼びかけ文のもと、参加者が集いました。
[本多雅人道場長からの呼びかけ]
毎年10月に1泊2日で「業縁の会」を開催し、松井先生から『歎異抄』(異義篇)のご講義をいただいておりました。講義、質疑はもちろんのこと、夕食をともにしながら、教えについて語り合い、師友の深いつながりを感じてきたことです。
今年はコロナ禍にあって、例年通りの開催はできなくなりました。オンラインでの開催は、従来の会のあり方には及びませんが、それでも先生から教えをいただく唯一の方法でもあり、貴重な時間として共に学び合いたいと思います。
仏法聴聞は「不要不急」には値せず、油断なく、事あるごとに本願念仏の呼びかけを感じる生活を送ることが願われているのです。蓮如上人が「仏法には、明日と申す事、あるまじく候う。仏法の事は、いそげ、いそげ」(『蓮如上人御一代記聞書』103 真宗聖典P.874)と言われたことをあらためて噛みしめているところです。
今回は『歎異抄』第13章を学びます。その章のなかに「さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし」という有名なお言葉があります。
コロナ禍にあって、様々な人間の相が可視化されたように感じます。感染症の歴史を振り返ってみてもそうですが、人間の愚かさ、社会の矛盾が浮き彫りにされるだけでなく、特に誹謗中傷が激しくなり、感染症よりも人間のほうが脅威となってしまう状況を生み出してきています。
松井先生のご講義をとおして、業縁存在としての人間を深く見つめていきたいと思います。
<参加者からの声>
今回、松井先生から『歎異抄』第13章の講義を受けて感じたこと、またオンラインでの初開催となったことについて、参加された方々から感想をいただきましたのでご紹介します。
[講義について]
・「善し悪しでとらえれば、だれにも何にも出遇わないでしょう」「善悪を超えて、自分に起こってくる宿業を全部拝めるか。これが大事なことです」と松井先生には教えて頂きました。
・特に最近13章に書いてある「宿業」について、親鸞聖人がどのように捉えていたか、勉強し直したかったので聞きたいことだった。
・「聞話」というワードが刺さった。耳だけで「聞こう聞こう」としてしまっているなぁと改めて考えさせられた。
[オンラインでの開催について]
・様々な会が開かれるのが少なくなっている今、このようにリアルタイムで配信していただけるのは、ありがたい。
・人が集まれない状況の中で、Zoomという双方向の講義は使い方にもよるが有効な手段だと思う。
・会場から遠方ということもあり、今まで参加が全然できなかったが、オンラインのおかげで初めて参加できた。
・先生が板書するときに、カメラが移動してくれたのは有り難かった。
・休憩時間や帰り際などに、先生と会話することができなかったのが残念だった。
・画面越しだったので、大切にされてきた「場」の共有ができない感じを受けた。
・出来れば参加者同士の座談ができるようになれば有り難いなと思った。
<今後の展望について>
伝道講習会学習会「業縁の会」開催のきっかけは、伝道講習会修了者からの「自主的かつ継続的に教えに触れる場が欲しい」という願いによるものからでした。「業縁の会」という名称も、「伝道講習会修了者研修」の際に、参加者で命名したものです。「業縁の会」発足から8年ほど経ちましたが、その間に修了者自身が主催となった自主学習会も開催されるようになりました。今後、伝道講習会の学びをともにした方々が、各地で自主的に聞法・学習の場を開いていくことを願っています。
また、2021年には、新型コロナウイルスの影響により昨年度延期した第22期伝道講習会(本講座)を開催する予定となっています。今後、新型コロナウイルスの影響がどのような状況をもたらすのかは分かりませんが、法を求める人がいる限り、どんなかたちでも仏法聴聞の場を開いていくという姿勢の大切さを感じています。
(東京教務所)