◆2026年に控えて
九州教区鹿児島エリア(鹿児島県・宮崎県・沖縄県域)では、2026年に「宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年・薩摩真宗禁制解禁百五十年記念事業及び慶讃法要」が勤まることになっています。
宗門全体では2023年に「宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要」を迎えますが、鹿児島をはじめ、かつての島津氏の支配した地域では、中世から明治初期まで親鸞聖人の教えが禁じられた歴史があり、信教の自由が布達されて150年目にあたる2026年に、薩摩真宗禁制解禁150年の慶讃法要と、宗祖の御誕生と立教開宗の慶讃法要とを併せて執り行うことになっています。
この記念法要に向けた事業の一環として、「慶讃法要青少幼年教化実行委員会」が設置され、子どもたちと共に遊び、共に学び、共に歩んでいくべく、様々な活動が企画されました。今回はそれらの活動の報告と、これからの取り組みについて紹介します。
◆これまでの動き
当実行委員会は2020年に始動しました。まず9月に第一回目の集まりがあり、ワークショップを行い、メンバーが思いつくまま活動案を付箋に書き出し、台紙に貼り出すという、「wish list」を作成しました。「子ども会を開こう」とか、「人形劇をしよう」、「絵本の読み聞かせをしよう」という声や、「真宗解禁にまつわる絵本をつくろう」といった、記念法要にちなんだ意見も挙がりました。
11月17日には、鹿児島別院において「こども報恩講」が勤まりました。総礼や供灯・供華、讃歌や正信偈同朋奉讃の勤行の後、当実行委員会が絵本の読み聞かせを行いました。絵本のタイトルは『あのときすきになったよ』(教育画劇)。薫くみこさん作・飯野和好さん絵の、友だちとの出会いや友情が書かれた絵本です。子どもたちは夢中になって聞いてくれました。
【こども報恩講にて鹿児島別院齊藤輪番の話を聞いている子どもたちの様子】
◆大きなかぶの人形劇
12月20日には、鹿児島別院に併設する大谷幼稚園のバザーに際し、「大きなかぶ」の人形劇を行いました。人形は手袋をはめて、そこに顔のパーツをつけた簡単なつくりです。自由にいろんな動きができる一方、演者の表現力や発想力が必要です。
そこで委員会では事前に練習会を開き、発声や小道具の扱いはもちろん、単に台本通り演じるのではなくて、どれだけ子どもたちにわかりやすく、おもしろい動きができるかを研究しました。その甲斐あって、当日は子どもたちが食い入るように見てくれました。
なお、人形劇の様子は、YouTubeにアップしています。映像はこちらからご覧いただけます。
【人形劇「大きなかぶ」】
◆鹿児島別院子ども会
5月22日と6月19日には、組教化委員会の青少幼年部主催の別院子ども会があり、実行委員会もスタッフとして参加しました。
5月の子ども会は、いま流行りの謎解きを行いました。子どもの参加者が42名。大人の参加者が約15名。その時の鹿児島県は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大警戒基準がステージ3に引き上げられ、感染拡大警報が発令されていましたが、当日までの間多くの参加の申し込みがありました。自粛が続く環境の中で、少しでも子どもたちに楽しい時間を与えたいという保護者の方の意向があったように思います。
開催日まで、懸念していた緊急事態の宣言もなく、感染症予防に細心の配慮をして開催しました。
当日は7つのグループに分かれてセーフ・ディスタンスを取って活動しました。前半はアイスブレークも兼ねて、本堂や併設する会館を会場とし、スタッフが用意した5つの問題を謎解きをしました。その時の工夫として、ただ謎解きをするのではなく、問題の答えが野菜の名前だったら、グループの子ひとりひとりに「○○ちゃんの好きな野菜は何ですか」と尋ね、自己紹介タイムにもなるようにしました。更に、グループによって予定時間より早く謎解きをクリアした場合は、「では○○ちゃんの好きな野菜は何だったでしょう?」と、お互いのことを知って、仲を深められるような即興問題として出題しました。
後半は本堂や会館を探検しながら、お寺のことを知るクイズをしました。「しんらんさんが手に持っているものはなんでしょう?」とか、「本堂の畳の数は何枚でしょうか?」といった、知識だけではなくて、自分たちで答えを探し出せるような問題を用意しました。
「ろうそく台の二つの動物は何でしょう?」という問題では、「フラミンゴとカメ!」と答えるお子さんも。子どもの目で見るお寺というのは、我々の固定概念よりも、もっと自由で楽しい場所なのかなぁと思わされました。
また、参加記念品として、蓮ちゃんや鸞恩くんのキャラクターシールや鉛筆、あかほんくんノートなどを配りました。
【あるグループの謎解きの合間に一枚。問題に夢中の男の子とカメラ目線の女の子たち】
【グループごとに参加の記念品を受け取った様子】
6月19日の別院子ども会は映画鑑賞や腕輪念珠づくり体験をしました。いずれも大盛況で、子どもたちも楽しんでいる様子でした。
【参加者みんなでお念珠づくり】
【お気に入りの出来になったかな?】
◆これからの活動展開
さて、実行委員会では初回の集まりにて、第7回教勢調査や、駐在教導が以前、独自に行った各寺の教化活動に関するアンケート調査をもとに、大谷派の青少幼年教化の現状についての研修を駐在教導より受けました。その中で、同朋の会や女性門徒の会の設置率に対し、青年会や子ども会の設置率がきわめて低いことを学びました。
これからはそんな宗門の青少幼年教化の実情に鑑み、継続的でユニークな取り組みを、鹿児島エリア内一円にも広げていく予定です。
そしてその発信方法として、鹿児島別院ではInstagramのアカウントを開設しました。子ども会をはじめ、ほかの慶讃事業や坊主bar、法要や各種イベントの情報はじめ、掲示板の法語の写真と一口解説なども紹介しています。鹿児島別院のInstagramはこちらからご覧いただけます。
当「慶讃法要青少幼年教化実行委員会」は2026年の記念法要に向けた組織ではありますが、そこをゴールとして、以降の鹿児島エリアの青少幼年教化が終わっていくわけではありません。2026年をひとつの目標にしつつも、そこから再びスタートして、鹿児島エリアの子どもたちと仏様とのご縁が、ますます深まっていくように、これからも長く努めて参ります。
(九州教区通信員 中谷 潤心)