6月14日、金沢東別院において、慶讃テーマ「南無阿弥陀仏 人と生まれたことの意味をたずねていこう」のもと、慶讃法要お待ち受け「第53回同朋大会」が開催されました。
当日は新型コロナウイルス感染防止対策として椅子の数を制限しながらも、別院敷地内の真宗会館ホールにサテライト会場を設け大会の模様を中継し、YouTubeでもライブ配信を行い、あわせて300人以上の参加がありました。
大会に先立ち、午前中は大谷裕新門の剃刀により帰敬式が執り行われました。帰敬式募集開始日の午前中には定員に達し、96名の方が新たに仏弟子としての歩みを始めました。
開会式では石井了惠教区会議長、木越渉宗務総長両名の挨拶がありました。木越宗務総長の挨拶では、歎異抄第十三条の「さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし」との言葉から、「新型コロナウイルス感染症による人々の分断やロシアのウクライナ侵攻に目を向け、今まさに人間の持っている業の深さ、私の身の危うさというものに大きな警鐘を鳴らされている」と語られました。
その後髙桒敬和教務所長、別院列座、教区教化委員幹事とともに「正信偈」が同朋唱和で勤まり、引き続き大谷裕新門の挨拶がありました。
最後に、「それでも生きていく」を講題に、政治学者で東京大学名誉教授の姜尚中氏による記念講演が行われました。姜氏は「生きる意味は人間自身では生み出しえない。それなのに近代は自分自身で自分の人生を切り開いていかなければいけないという思いにどっぷり浸かっている」と格差社会の問題点を話し、木越宗務総長の言葉とも絡めながら「人間は危うい存在であり、現代は危うい時代である。作られたさまざまな価値観を超えて、お互いが生きていいと思いあえる世界、人と人がどれだけ対立していても共存できる社会のために一番大切なことは信仰以外にない」と力強く語りました。
このたびのお待ち受け大会は、時代社会を生きる私たち一人ひとりがあらためてお念仏の教えに帰っていく大事な機縁となったように思います。
(金沢教区通信員 伊藤 暁信)