6月18日、能代市文化会館(秋田県)において慶讃法要お待ち受け大会が開催され、500人を超える参加がありました。新型コロナウイルス感染防止のため、マスクの着用や手指消毒、検温、座席の間隔を確保するなどの感染対策が講じられる中での開催となりました。
大会に先立ち、大谷裕新門の剃刀による帰敬式が執行され、83人が受式し、法名が伝達されました。大会では、内局挨拶、勤行、新門挨拶に続き、高名和丸氏(奥羽教区正行寺前住職)による記念講演が行われました。高名氏は「南無阿弥陀仏」に込められた仏さまの心について、「生きている限り、人生上の恐れ、不安、そういうものはなくなりません。しかし、人生そのものの恐れを根元的に超えた世界を頂く、安心して恐れのただなかを生きていける、そういう世界が「南無阿弥陀仏」として私たちに施与されているということを思います」と話されました。
7月1日から教区改編によって、奥羽、山形、仙台の三教区が統合され、新たに東北教区が発足するため、奥羽教区として執り行う大会はこれが最後となりました。会場入口では大会パンフレットに加え、奥羽教報『さらなん』の最終号が記念品として参加者全員に配布されました。中には教区の歴史を振り返る写真や、新たな教区への思いなどが掲載されています。それを読みながら、奥羽教区の思い出を語らう参加者たちの様子も見受けられました。
照井静志教務所長は開会の挨拶で、「青森県、秋田県の寺院は著しい人口減少に伴う過疎化により全国でも特に厳しい状況にあります。しかし、そのような状況にありながらも、それぞれの寺院が地域に根ざし、地域の方々と時代をともにし、お念仏の教えが相続されてきた事実があります。宗教心の過疎化、真宗の過疎化とならないよう、本願念仏の教えに出会う場をたゆみなく生み出していかなければなりません」と呼びかけました。
今回の大会は、教区改編という節目の折に、あらためて仏さまの心をこの身に聞き開く機縁となりました。
(奥羽教区通信員 宮腰寿美加)