宗祖親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃事業として取り組んでいる「若者教化立ち上げ応援プロジェクト」に応募された京都教区山城第1組随専寺さん。(※プロジェクトの詳細は、記事末尾参照)
門徒さんも交えた企画を検討する話し合いの中で「仕事や子育てに忙しい年齢層の方たちに、除夜の鐘と花まつりの年に2回、お寺に集っていただき、安心して日頃の思いを語り合える場としたい」との住職の願いが語られ、親子で参加できる花まつりが行われることになりました。真宗教化センター寺院活性化支援室の支援員が、その立ち上げまでのサポートを行いました。しかし、実施に向けた話し合いをはじめた直後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大もあり、このたびようやく実施することができました!!
今回は随専寺さんでの親子で集う「若者教化」の取り組みの様子をレポートします。
今回の「花まつり・お念珠づくり」には、親子をはじめ、母・娘・孫という3世代での参加もあり、ご門徒さんによるスタッフも含め、合計12名ほどの参加者が集まりました。皆それぞれ念珠づくりを心待ちにしている様子がうかがえます。
参加した子どもたちの調声と鏧による正信偈・同朋奉讃に始まり、ご住職の東口真由美さんより、花まつりに関するお話をいただきました。今から2500年前にお釈迦様がお生まれになった際、そのご誕生の尊さを祝福するかのように甘い雨が降ったということ、また、お釈迦様の教えが2500年もの間絶えることなく、先人たちの思いや願いによって、私たちにまで届いているということの有難さを聞かせていただきました。
その後、順番にお釈迦さまに甘茶をかけ、日程は念珠づくりへと進んでいきます。
講師には長浜教区要誓寺の早嵜和典氏をお迎えし、念珠づくりに入る前に念珠についてのお話を聞かせていただきました。その中でも
「3月11日の東日本大震災の際に何かできないかと思い、子どもたち向けに念珠づくりを始めた。子どもたちが楽しそうに遊んでいる様子を見て、徐々に大人の参加も増えてきた。
念珠づくりはお寺とのご縁結びという面もあるが、亡くなった大切な人と出会う仏具を作るということでもある。」
というようなお話が印象的で、念珠は単なるワークショップではなく、一人ひとりが諸仏と出会うための大切な準備をするということでもあるということを感じました。
机の上に所狭しと並べられた色も形も大きさも多種多様な珠を、参加者は組み合わせに頭を悩ませながら、思い思いに選び取っていきます。先生に助けてもらいながら、また自分で作り方の表を参考にして、それぞれ苦戦しながらも全員の念珠が完成に至りました。
参加者からは「楽しかったのでまた作りたい」「こんなにも無我夢中になっている自分に驚いた」等の感想が聞こえ、ワークショップ中も参加者同士でお互いの選んだ珠を見せ合ったり、房の結び方を教え合ったりと、終始和気あいあいとした雰囲気でした。
お寺離れが叫ばれている近年において、対象年齢も幅広いこのような取り組みは、お子さんを持つ若い世代でも親子で気軽に参加しやすく、それまでお寺とつながりを持たなかった世代とお寺をつなぐひとつのきっかけともなるようです。
今回作成したお念珠は、これをつけて手を合わせるたびに、あの日あの場所でお互いに教え合い、夢中になりながら完成させた達成感をよみがえらせ、また住職の東口さんや参加者の皆さんの和やかな人柄を含め、訪れるものがいれば温かく迎え入れてくれるような、会場の優しい雰囲気を思い出させてくれるでしょう。
そのような、お寺は誰もが歓迎される場であること、お寺に対して一人ひとりが温かい記憶をもてるような機会づくりが、青少幼年教化をするうえで、一つ大事なこととしてあるのではないかと感じました。
東口さんのお話しにもあったように、2500年もの間、語り継がれてきた流れの中にはたくさんの方々の願いや思いが重なって今に至っていることを思います。今回お念珠と共に参加者がそれぞれ抱いた思い出も、その流れの一部となって、お寺と人々のつながり、参加した人同士のつながりが、まさに数珠つなぎのように拡がっていくのではないしょうか。
《若者教化立ち上げ応援プロジェクトに応募しませんか?》
これまで子ども会は開いていたけれども、若者世代との関わりが十分できていないと感じていたという東口住職。「若者は忙しい」と決めつけていて、なかなか一歩を踏み出せなかったそうです。そんな時、「若者教化立ち上げ応援プロジェクト」の募集を知り、すぐに応募されたとのことです。
皆さんのお寺でも、若者と共に教えを聞く場を開いてみませんか?
開催経費の補助や、寺院活性化支援員による事前相談もご利用いただけます。
【詳しくは青少幼年センターホームページをご覧ください。】