三河三カ寺の一つ 本證寺


愛知県安城市は「日本のデンマーク」と呼ばれるように明治時代以降、農業が盛んな地域であるとともに自動車産業も盛んであることから現在でも人口が増加傾向にあります。
 その安城市にある本證寺は、三河地域の中心寺院の三河三カ寺の一つで、三河一向一揆の舞台であり徳川家康と戦ったお寺として現在放送中の大河ドラマにも登場しました。また、さまざまな法座やイベントが盛んに開かれるお寺です。

2023年5月3・4日、城郭寺院と呼ばれるような二重の堀に囲まれた本證寺の広い境内を会場に「本證寺フェスティバル」が開催されました。

本證寺山門(本證寺フェスティバル入口)
山門には「まず阿弥陀さまにお参りしてから」の呼びかけ
会場マップ
聖徳太子絵伝の解説

 今年は5回目の開催となり、境内には物品販売のテントやキッチンカーの出店が約30店、本堂やステージ・庫裏等を用いた演奏や体験イベント等が約30出展されました。その中にはガイドによる境内の史跡巡りや聖徳太子絵伝の解説、境内各所に足を運んでの謎解き等、本證寺をよく知り、教えに触れてもらえるようなイベントが催されました。今回は大河ドラマの時代考証に関するトークイベントもあり、遠くは広島や東京から本證寺に来られた方もいたようです。

境内では「謎解き」も開催

来場された方にお話を伺うとGWの帰省中に約30年ぶりに来たという方や、本證寺の名前は知っていたが初めて来たという安城市内にお住まいの方もおられました。他にも本證寺の聞法会に行くようになったことをきっかけに境内の史跡ガイドをされている方や「住職にどんどん巻き込まれるようにして関わっています」とお話しされたスタッフの声も聞かれました。フェスティバルは年々大きくなっているようで、住職さんに対して「〇〇をやっているので今度呼んでください」といった光景も見られました。「はじめに阿弥陀さまにお参りしてからフェスを楽しみましょう」という言葉が地図や境内に掲示され、チラシには「お寺をあそぼう」と掲げられていました。大勢の方が来場され、子ども達が本堂や境内を走りまわり、若い人が本堂で手を合わせる姿がありました。

■住職の小山興圓さんに本證寺フェスティバルについてお話を伺いました。


―どのような経緯で本證寺フェスティバルをしていますか?

本證寺住職の小山興圓さん

小山興圓さん 住職になった時、お寺に来る人は少数で限られた人しかなく、御門徒や近隣の人ですらお寺に入ったことのない、門も閉ざされていたような閉鎖的で会員制のような空間でした。新しい人が流入している地域で、横の繋がりがないという環境の中でお寺として何とかしたいという思いから本證寺フェスティバルを始めました。

―大変なことと願いは何ですか?

小山興圓さん 半年前から準備にかかります。お店の募集や地域の人への連絡を繰り返し、一団体につき4・5回連絡のやり取りをしています。大変ですが、終わった時の幸福感があります。特に、「楽しかった」という声や「今度の法話会来ます」という声を聞くのが嬉しいと感じています。今回のようなみんなが集まる[緩いイベント]→[硬派な法話会]→[緩いイベント]→[硬派な法話会]と報恩講まで交互に企画するようにしています。ゆくゆくは今回のようなイベントに来られた方にも報恩講へ来て欲しいと願っています。

―どのような団体との協力と宣伝方法をとっていますか?

小山興圓さん お寺以外にも地元の町内会・地元のボランティア団体・市の教育委員会・市の文化財課等多岐に渡る団体との協力があります。出展やイベントは出たい・行きたいと思っている人たちは結構多いと感じています。宣伝方法としてはSNS・地域のコミュニティ紙・回覧板、教育委員会の後援を仰いでいることから市内の中学校へのチラシ配りを用いて宣伝しています。

謎解きの合言葉を住職に伝えるとスタンプと宝物がもらえる

取材を終えて


お寺がイベント会場であるだけなら「お寺であそぼう」でしょう。しかし「はじめに阿弥陀さまにお参りしてから」の呼びかけから始まるように御本尊を中心とし、遊ぶだけでなくお寺を知り、教えにふれ、お寺そのものを楽しむイベントであるところに「お寺をあそぼう」と謳った意義を感じました。

(岡崎教区通信員 上野 瞭)