伝道掲示板
子どもの誕生日は、
親の誕生日
青森県黒石市。県のほぼ中央に位置し、四季折々の美しい自然に恵まれた地域です。市内の中町にある「こみせ通り」は、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、今も多くの人が足を運ぶ名所です。
そんな黒石市に寺院をかまえる圓覺寺は、寺院運営だけでなく、隣接する保育園(黒石若葉保育園)の運営も行っており、幼児教育にも力を入れています。今回は副住職の明本弘治さんにお話を伺い、掲示伝道で大切にされていること等を語っていただきました。
掲示板を始めた経緯は、「元教務所員であった現住職が、お寺に掲示板がないことを気にしていました。そこで住職を交代した折に、掲示伝道を始めました」。今は1ヵ月ペースで法語を選定して作成されており、その法語は、隣接する保育園の児童や親御さん、また近くの高校へ通う生徒たちがよく目にするそうです。感想や言葉の意味を問われることもあり、「反響があることがうれしい」とのこと。
工夫されていることを伺うと、「あまり仏教用語を使わないことを意識しています。時期や季節を考慮し、聞法の中で出会った言葉を家族と共有しながら決めています」。住職の謙治さんが始めた掲示板ですが、最近は主に副住職である弘治さんが法語を書くようになり、篆刻印や消しゴムはんこなどを織り交ぜた、遊び心のある掲示板作りを心がけておられます。
また、弘治さんは、教区では青少幼年部門委員、仏教青年会副会長、本山では同朋会館嘱託補導、慶讃事業子どものつどいスタッフなど、多くの活動に参加されています。「ご門徒や住職、家族の協力をもらい、そのおかげで、様々な方のお話を聞く機会をいただいている。その中で出会った言葉を掲示伝道の場で、皆さんと共有していきたい」。また、掲示伝道で苦労していることを伺うと「特にありません。書道は得意ではありませんが、楽しくやらせてもらっています」と答えていたのが非常に印象的でした。
自分が見聞きした経験を、掲示板で様々な人に知ってもらいたい。楽しそうにそう答えていた弘治さんの姿からは、この掲示伝道が単に自分の伝えたい言葉を載せるだけでなく、その言葉を皆と共有したいという想いが伝わってきました。法語が人と人とを結ぶ縁となる、圓覺寺の掲示板という場が、その繋がりを育む場所として、地域に根付いていることを感じさせられました。
(東北教区通信員・藤本 祐)
『真宗』 2023年7月号「お寺の掲示板」より
ご紹介したお寺:東北教区青森県第二組 圓覺寺(住職 明本謙治)
※役職等は『真宗』誌掲載時のまま記載しています。