北海道函館市から車で北上して2時間のところにある今金町。町を見下ろせる小高い丘の上に法林寺はあります。

普段は60代から80代のご年配の門徒の姿があるお寺ですが、この日は20代から40代の20名ほどの若者が集まりました。中には小さな子どもの姿も。今年40歳を迎える若院(阿知波大潤さん)は、これからの時代どのような形で幅広くお寺にかかわりを持ってもらえるだろうか、ということを課題としていました。

そのような中、特に同世代にはどんな形であってもいい、まずはお寺に足を運んでもらいたい。そんな思いから始まったのが「Otera Night」だそうです。

Otera Nightのポスター

若院の趣味の一つであるボードゲームと若坊守のガイドによるヨガ、そして二人の共通の友人であるミュージシャンのライブをとおして同年代をお寺に呼びこみました。

開催は午後3時。まずはお寺の雰囲気を感じてもらうべく、鐘撞き堂で鐘撞きから始まりました。続いて喚鐘を参加者に叩いてもらい、普段お寺に来るだけではできない体験をしてもらうことができました。開会式前には、ご本尊の前で手を合わせた後、若院が伽陀を披露し勤修前の儀式を目にしてもらいました。

その後、子どもと大人数名でスパイスを使った本格的なカレー作りをしてから、ヨガをする人とボードゲームをする人に分かれ、それぞれ楽しみました。

カレー作りの様子

ボードゲームコーナーでは、若院が趣味で集めた約100種類のボードゲームの中から「コリドール」「キャプテンリノ」など、ボードゲーム初心者や子どもでも楽しめるものを選び、若院の丁寧なルール説明を聞きながら世代を超えて楽しい時間を過ごしていました。

ボードゲームを楽しむ参加者
大人も子どもも真剣です

ヨガの体験会では、お寺に来た御門徒さんや町の人に心と体を大切にする時間を持ってほしいと、インストラクターの資格を取得した若坊守によるガイドのもと、陰ヨガを体験。

陰ヨガ体験の様子

そして夕方になると、本堂はライブ会場に早変わり。参加者全員でカレーをいただく中、ライブが始まりました。

ライブでは、若院夫婦の古くからの友人である島牧村出身のシンガーソングライター中田雅史氏一家(ナカタケ)が歌を披露。歌詞には「ただ気持ちよく生きていたい」というフレーズが参加者の共感を呼んでいました。

カレーをいただきます
ライブの様子

参加者は歌のリズムに身を委ねながらソフトドリンクやビールの他に、中田雅史さんの奥さんが提供するワンコイン日本酒バーなどでお酒を嗜む姿も。

今回の「Otera Night」は『世代を超えて気軽に集まれるお寺を作りたい』という若院のビジョンの第一歩となりました。

取材をとおして、「儀式があるからお寺に行く」という概念が、こういった取り組みをしていくことで少しでも変化し、お寺という場所が身近になり、真宗の教えにふれお寺にかかわるきっかけになってくれることを願いたいと強く思いました。

(北海道教区通信員 矢田真之)