新型コロナウイルスの月感染拡大により、全国各地の寺院では様々な変更や工夫をしています。
このたびは、福岡県行橋市にある九州教区京都組の淨喜寺からお伝えいただきました。
◆通常行っている淨喜寺の行事
○月参り(8月盆参り)
○法事・葬儀
○法要
①春彼岸会法要(3月3日間)、②報恩講(4月5日間)、③盂蘭盆会(7月2日間)、④秋彼岸会(9月3日間)、⑤永代経法要(11月2日間)
※法要1日2座で、1日当たりのお参りの人数は約70~110人でお斎あり。法要行う前におみがきやお掃除を行っている。
○除夜の鐘・修正会
○子ども会(8月に寺子屋を3日間行う。また、12月には餅つきを行う。)
○婚活パーティ(10月)
○連歌(地域伝統行事)
○毎月の行事(聞法会、女性の会、28日講、書道教室)
○場の提供(カルチャー教室として篠笛、クラフトバック、ヨガを行う)
◆地域の感染状況(2020年11月30日現在)
寺院所在地である福岡県行橋市では、感染1例目が4月2日に確認され、11月末日までに31例目の感染者があった。その他、淨喜寺門徒所在地は北九州市(736例目発表)、苅田町(20例目発表)、みやこ町(6例目発表)にも広く分布している。※病院や保育園のクラスターも確認されている。
◆感染防止の対策について
【人への対策】
法務員やその他職員にマスク着用(月参り・法事・葬儀等の勤行中も含む)や、手指消毒、毎朝の検温を義務付けた。また、寺院内での感染や濃厚接触を避けるため、一緒に食事をとらないようにした。
【物への対策】
玄関、トイレ、各部屋をこまめに消毒し、手拭きタオルをペーパータオルへ変更した。
給水機など不特定の人が触れるものを撤去した。
法要、葬儀、法事の時の勤行本配布を中止した。※残念ですが感染防止のために
◆淨喜寺の行事の変化と工夫
○月参り
〈変化〉2020年2月頃から月参りの中止について連絡が入りだし、2020年4月頃までに7割近くまで減少となった。しかしながら、秋頃には9割近くまで回復した。
〈工夫〉滞在時間を短めに心がけた。このことにより、門徒との会話減少してしまった。なお、8月お盆参りは、時期を早めて始めることとしたため、通常より余裕のあるお参りができた。
○法事
〈変化〉中止、半年から一年先への延期の申し出や延期して他の年忌と一緒に勤めるといった例が増えた。また、少人数での法事、会食を控える法事が増えた。
〈工夫〉感染防止を目的としたお寺の対応として、僧侶の会食への参加を控えた。そして、法事中の休憩時間を取り止め、所要時間の短縮を図った。
また、寺院から施主へ換気の呼びかけを行うこととし、換気の心配がある方は、お寺を使用することを勧めた。
なお、遠方によりお参りできない方のために、施主がタブレットで通信しながらお参りする例もあった。
○葬儀
〈変化〉移動自粛が叫ばれるので、近親者のみの家族葬が増えた。また、会場外での焼香を行っている例もあった。
通夜・葬儀後のお斎を控え、お弁当を配布する例が増えた。市内の火葬場については、人数制限や給湯器の廃止、会食を行わないようにしている。
○法要
〈変化〉春彼岸会法要(3月19日~21日)は、参拝者の受け入れをせず内勤めとした。報恩講(4月24日~28日)は11月へ延期し、盂蘭盆会法要(7月13日~14日)では門徒当番によるおみがき及びお掃除は取り止め、密を避けるため、参詣席数の縮小を行った。
〈工夫〉
1日の法要座数を増やし、地域や日時を指定して分散してお参りができるように計画した。結果、1座当たりの人数を減らしたお参りができた。(1座1時間程度)
外部講師をの招聘は行わず(行えず)、お斎は中止し、代わりにペットボトルお茶・箱菓子を配った。
また、入口での手指消毒、検温、クラスター発生時に連絡できるように氏名・連絡先の記名、マスク着用をお願いした。※記名時の鉛筆も消毒
そして、受付を広くとる対応を行うとともに、お取持ち(法要に対するお布施)の受付で現金を直接扱うことを避けるため、各自で予め封筒に入れていただくこととした。進納者の名前張出しの掲示は中止した。
※門徒からは、お寺にお参りできてうれしいとの声を聞く。
○秋彼岸会法要(9月21日~23日)
〈変化〉門徒当番によるおみがき・お掃除はなし。
〈工夫〉7月盂蘭盆会法要同様、地域を指定して分散してのお参りを行った。予決算等を審議する世話方総会があったが、委任状を取って無理に参加しないでよいように工夫した。
○永代経法要・報恩講・住職継職式(11月2日~5日)
〈変化〉門徒当番によるおみがきやお掃除、お餅つきを中止した。
〈工夫〉11月2~3日の報恩講及び永代経法要は、地区別指定、1時間程度の法要とし、9時・11時・2時の3座に分け分散してお参りいただいた。
11月4日は10時から報恩講御満座(雅楽あり)、2時から前住職退任式で外部講師による法話を行った。
11月5日は10時から住職就任式で、外部講師による法話を行った。
4日・5日は、外のテントでの受付を行い、門徒会館広間等にモニターを設置して、本堂での密を防ぎながらどなたでもお参りしていただけるような体制をとった。。
○除夜の鐘・修正会
〈変化〉例年は、門徒外不特定の方も含む200名ほどの参拝者があるが、お餅やおとそ・お汁粉をふるまいを2020年はしない予定。また、勤行後の本堂でのくじ引きも行わない。
〈工夫〉鐘突き前に手指の消毒をしてもらい、順番を待つ列が密集しないようにする。
○子ども会
参加者が例年50名を超える為、密を避ける対応ができない。8月の寺子屋、12月の餅つきも中止である。
○婚活パーティー
飲食、会話がメインの為中止。
○連歌(地域伝統行事)
行政との関係もあり中止。
○毎月の行事
聞法会(3月~6月中止)・・・参加者5~10名
女性の会(3月~6月中止)・・・参加者20名前後で、時間を短縮して本堂で開催
28日講(3月~6月中止)・・・参加者5名~10名
書道教室・・・(3月~中止)
カルチャー教室は各自再開や中止
それぞれの毎月の行事は、参加者はコロナ以前の出席率で参加されている。
(九州教区京都組淨喜寺 坊守・寺院活性化支援員 清原明子)