練習風景。皆さんすぐに役に入れるのがすごいと感じました。
劇団23練習風景。皆さんすぐに役に入れます。

岡崎教区第23組の門徒さんと僧侶の方々が集まって、「寺子屋23」という劇団が結成されています。演題は「親鸞と弁円」。
台本、舞台装置、大道具(背景画・護摩壇など)、小道具(野菜・鍬・釜・米俵など)、衣装すべてが手作りで、
地域の注目を浴びています。岡崎教区内のご縁のあるお寺の法座(主に報恩講)に呼ばれて上演をされています。

 

 

 

弁円の加持祈祷のための火も手作り。
弁円の加持祈祷のための火も手作り。

【劇団創設の経緯】
岡崎教区が進める推進員養成講座「こころの元気塾」が修了し、講座後になにか皆でやることができないかということを
組内の住職さん、若院さん、門徒さんが一緒になって話していました。
「せっかく講座を受講したのだから…」という思いで、学習会のような集まりを続けていたところ、親鸞聖人750回御遠忌のお待ち受け同朋大会での発表の機会があり、目玉に演劇をやろうという声が上がったことがことの発端でした。当時の組長さんの熱い思いでした。

 

 

ほら貝も当然手作り
ほら貝も当然手作り

最初は「そんなこと、やれるか?」という声がほとんどで、やるとしても小学校の学芸会以来。みなさん半信半疑で考えていました。
不安と緊張の中で開演の時を迎えましたが、観客の方たちの拍手に乗せられて無事にやり終えることができました。

 

 

 

シナリオは先輩が製作された紙芝居をもとに作られています。皆さんが親鸞聖人に思いをはせる大切な歴史が刻まれています。
シナリオは先輩が製作された紙芝居をもとに作られています。皆さんが親鸞聖人に思いをはせる大切な歴史が刻まれています。

シナリオは願正寺前住職の鶴見 榮鳳(ツルミエイホウ)さんの紙芝居法話をもとにして作成。
あるものを上手に利用して先輩方の願いを継承していこうというスタッフの方々のお気持ちが感じられました。
配役は総勢で13人とナレーション1人。13人で上演することは稀で、掛け持ちでやることが多いそうです。
親鸞聖人役はセリフが多いので、2人で行うこともあったそうです。
全20分強の短い演劇ですが、親鸞聖人と弁円のやりとりが非常に面白い。
教化活動全般について23組の住職や門徒さんの理解があるために、非常にやりやすい環境が整ってしまったということです。

 

【ご苦労をお聞きしました】
(脚本)

浄願寺の岡本立志ご住職。劇団23の皆さんをご紹介していただきました。推進員養成講座のアフターとして注目の事例です
浄願寺の岡本立志ご住職。劇団23の皆さんをご紹介していただきました。推進員養成講座のアフターとして注目の事例です

台本の原作となった紙芝居を作った鶴見先生は、3.11東日本大震災において、人間と自然の問題を深く考えられ、
この演劇には、親鸞聖人と弁円を表現する際に、「自然を利用する人間」と「自然の厳しさを尊敬していく人間の生き方」
ということを念頭に置いて考えてきたと語られました。
また「人間同志の恨みや怒りを超えていく世界が念仏によって開かれている」ということが演劇を通して表現したかったことです。

(親鸞役)
セリフが覚えられない。半年間の練習台本を忠実に読まなくてはならない。
当初は、一発花火でやるつもりでしたが、みんなで練習を重ねているうちにだんだんとやる気になってきました。
もともと幼少のころから演劇が好きでした。学芸会も好きで今回の演劇も、やっているうちにだんだんと恥ずかしさが抜けてきました。
はじめはカンニングペーパーを持ってやったり、小道具にセリフを書いてやったり工夫をしていました。
上演1回で終わるはずでしたが、組内の報恩講でやってはどうかという声が上がって、気づいてみたら3年で11回も行っていました。
劇については不安もあるけど、練習と反省会を重ねてきたのでチームワークは抜群ですよ。
劇団の絆は、自分たちが楽しめる関係性ですね。

(親鸞役、他)
弁円・サル役以外のすべての役をやりました。スーパーサブと言われています。
私からしてみれば、人が足りない時が一番大変です。何役もやらなくてはならないんです…。
親鸞聖人を演じさせていただくことは責任重大です。
今となっては、聖人のお心にかなう役柄が演じられたのかどうか…、自分自身の学びの一助になりました。

(弁円役:前半.・後半)
セリフや動作が多く不安ばかりでした。しかし振り返ってみれば楽しいことばかりです。
親鸞と弁円の話の筋書きは知っていましたが…。会場によって受けるポイントが違うということがよくわかりました。
真冬の時期の練習も力が入っていたので寒くなかったですよ!
お寺から上演の御礼をいただくことがありましたが、その日のうちに反省会の支払いに消えていきました…。

(村人A役)
お百姓さんの感情をどう出せるか、上手に出せるかどうかよくよく考えました。
着るものも持つものもすべて自分で作って臨みました。

(村人B役)
住職さんが身近に感じて良かった。今までは差があったように気がしていました。
門徒が主役となって楽しくやれていることが大きいです。参加につても緩やかなところが無理なく魅力的でした。

雨よ降れ!! 雨よ降れ!!
雨よ降れ!!
雨よ降れ!!

(村人C役)
テレビの俳優さんのしぐさをよく見るようになりました。劇の中で地元の野菜の宣伝をしたら、
会場がドット盛り上がることが分かりました。みなさまありがとうございました。

(村人D役)
この劇団は層が厚いことが特徴です。代役が効くということは本当に大きな要素です。
推進員さんが組を盛り上げている典型的な事例だと思います。

(サル役)
お御堂に「キーッ!!」と声を上げて入っていくだけです。簡単なようですが、代役は効きません。

(手下役)
セリフが覚えられなのでカンニングペーパーを作ってついていきました。
「雨は祈っても祈らなくても、降るときは降る」という言葉がセリフの中にあります。
人間中心主義の危うさに気づいて、自分自身の生き方の課題になるような劇になったらと思っています。
親鸞聖人を身近に感じましたよ。
もう少し地方性を出した方がよいような気がしています。
地域によって受け方が違うので、今となってはアドリブを入れて上演しています。

(ナレーション役)
住職が親鸞聖人を演じると会場が盛り上がりますね。
ナレーションの言葉を入れていくタイミングは本当に難しかったです。

ナレーション役は会場全体の雰囲気を作り上げます。実践と練習を重ねているのでとても聞きやすい!

 

【今後の展望】
要請があればご相談に応じます。月刊『同朋』に掲載された時も教区内から要請があり、びっくりしていました。
後継者も作っていかなくてはならないので、機会があれば組内のお寺を中心に活動を展開していきたいとのことです。
現在、お内仏のある生活をテーマに、現代劇を作成中。
台本は出来上がっているそうです。そろそろ練習を始めるようで、お披露目の折には是非とも取材させていただくことを約束しました。