朗読劇「アジャセ物語~ヴァイオリンの調べと共に~」を掲載します。本朗読劇は、『王舎城物語』(渡辺愛子氏/東本願寺出版『同朋新聞』1992年5月~1993年12月連載)と『アジャセ物語』(岡本禮子氏/大和仏教文化センター)を原作に、中村直美氏が脚本を編集されたものです。劇は5名から6名の方と1名の演奏者で構成されています。※演奏については、CD等の音源を代用して演じることもできます。

映像は、金沢教区第9河北組 光德寺における上演の様子です。(2015年9月1日)
撮影:中村和雄氏/編集・制作:東 俊丸氏

 『涅槃経』というお経の中の物語を朗読劇でお贈り致します。主人公のアジャセは、最初は父に殺されかけた被害者でしたが、やがて加害者へと変貌していきます。「殺さなければ、自分がやられるのだ!」と暴力の僕(しもべ)と化していくアジャセ。
 被害者から加害者へ。アジャセの姿は、新聞紙面に溢れている事件の当事者達だけのものでしょうか?「あの人がいなければ、私の人生はもっと生き易いものになるのに…」と、私たちは、心の中で身近な周りの人を殺してはいないでしょうか?また、国家間の武力闘争も、根本をみつめてみれば、それぞれが被害者とならない為に加害者になっていく人間の悲しい営みのように見えてきます。
殺害する側となった主人公アジャセは、やがて犯した罪の為に苦しむことになります。ここにおいてやっと、アジャセの「人間らしさ」の回復が始まります。他を殺して苦しまないものを果たして「人」とよべるのでしょうか?
アジャセの暴力性とそれゆえの苦しみを、よくよく知っておられたのがお釈迦様でした。アジャセの苦しみ、言い換えれば人間の苦しみに、仏様はどんな光を投げかけてくださるのでしょうか。

 (西方寺上演案内文より)

■朗読劇 アジャセ物語
出典:『観無量寿経』・『涅槃経』 ~釈尊の御説法~
原作:『王舎城物語』(渡辺愛子)・『アジャセ物語』(岡本禮子)
脚本:中村直美(金沢教区第5組 西方寺)

※「朗読劇 アジャセ物語」の脚本はこちらから。
※ 劇中の楽譜・音源はこちらから。
・宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌音楽法要の楽譜・音源
・『仏教讃歌Ⅰ』(楽譜CD