親鸞聖人にまつわる「越後七不思議」のひとつ「保田の三度栗」の孝順寺。現在でも山にある三度栗は、年に三度花を咲かせているそうです。現在の寺域にある栗の木は「三度栗」の子孫だそうです。
寺域と建物は、かつて越後千町歩地主のひとりであった斉藤家の邸宅(昭和初期を代表する建物)です。三千坪の敷地に三百坪の堂宇。見事な庭と堂宇です。
終戦後、財産税として国に物納され競売。堂宇存続を願う機運のなかで、1950(昭和25)年、孝順寺前住職渡邊孝秀氏が意を決し、門徒のご懇念をいただき、遷座し、今に至っているそうです。
孝順寺では、毎年5月5日に花まつりを行っています。今年で32回になります。
「5月5日は、家族でよそへ遊びに行くのに…とおっしゃる方もいますが、こどもの日だから、子どもにサービスをするのではなく、子どものことについてよく考える日にしたい」と、この日に行っているそうです。
新生児と新小学1年生へは、お寺から招待状が届けられます。もちろん、それ以外の子どもたちも集まります。新生児がお寺に来るということは、若い親たちが共にお参りをするということ。また新小学1年生は節目にお参りをと、お勤め、灌仏の後、記念写真を撮り、記念品をいただきます。
記念品は、参加者全員に「お参りする子はいい子になれる」と印字された鉛筆を。新生児には、東本願寺出版部発行の絵本『ててて』と椿の苗木を。新小学1年生には、門徒さんが寄付してくださる本を…。そして写真には、「阿弥陀さまにお参りをしたという証拠、若い親たちがお参りをしたという証拠、この事実・証拠を残すことが重要」との住職さんの熱い思いが込められています。写真屋さんから撮影してもらった記念写真にメッセージを添えて新生児と新小学1年生に渡しているそうです。
そして、仏間へ続く長い廊下には、30年分の記念写真が飾られています。地元の中学生が総合学習で、お寺を訪れると「自分が写っている」と喜ぶ子、「僕も来たかったな」と言う子など、さまざまだそうです。
「保田地区は、他宗が盛んで、なかなか真宗の教えが育ちにくい。門徒さんの心がお寺に向くように、お年寄りや子どもにもわかりやすいものを」と、住職さんは毎月発行の寺報や行事などに工夫を凝らしています。「お念仏 心と心をつなぐ糸」、「ねんねんころりよ なむあみだ おててあわせる 子にそだて」と、願いを発信しています。
(三条教区通信員 関﨑智弥)
『真宗 2009年(5月)』
「今月のお寺」三条教区第23組孝順寺
※役職等は『真宗』誌掲載時のまま記載しています。
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