「青き色には青き光、黄なる色には黄なる光、赤き色には赤き光、白き色には白き光あり。」という言葉は、私たち一人ひとりが、すでに、それぞれの色を持ち、光り輝いていることを語っています。それは、私たちの本来の姿でもありますし、生きる喜びの姿であると言っていいでしょう。それは、また、どのような他とも対立することのないものの姿でもあります。
私たちは、他の人にはない、勝れたものを持つことが、光り輝いて生きることのできる条件だと考えています。だから、みな必死になって、他の人よりも勝れたものを手に入れようと苦労しています。しかし、どうでしょうか。私たちは、誰もみな、例外なしに、できることとできないことを持っています。そして、やがては年老いて、自分の力だけでは何もできないようになっていく相対有限な存在ではないでしょうか。他の人にはない、勝れたものと言ってみても、比較の問題に過ぎません。結局のところ、光り輝くことはできないことになってしまいます。
このような他の人と比較する心から解放されることがない限り、私たちは、本来の輝きを取り戻すことができません。そのためには、すべてのものは、もともとつながり合って、ともに生きるものであることに目覚めることが、最も大切なことです。
『大谷大学伝道掲示板 きょうのことば3』(大谷大学)
『真宗の生活 2007年(6月)』
※『真宗の生活2007年版』掲載時のまま記載しています。