御影道中イメージ3


傳久寺
いよいよ蓮如上人御影道中御上洛の最終日(8日目)のあゆみが始まります。中山道を経て草津に入り、今日からは旧東海道をおよそ30キロ強歩いて、御本山、真宗本廟東本願寺を目指します。

天候は朝から雨。最後の宿泊場所である傳久寺のご住職から「どうそ、どうぞ、お気をつけて」と気持ちのこもったご挨拶をいただき御出立です。驚いたのは、蓮如上人の御影が載せられた御輿に衝撃が伝わらないようにとのお気遣いで、わずかな山門の段差が新しい細い木々で埋められていたことです。おそらく何百年にもわたってこのお寺に伝わってきたお迎えの姿勢なのでしょう。感動しました。

雨具の準備も万全。蓮如上人のご苦労をしのびつつ、いざ出立!

傳久寺を御出立です。さあ、御上洛最後の一日が始まります。
傳久寺を御出立です。さあ、御上洛最後の一日が始まります。

山門の段差を埋める配慮に合掌。
山門の段差を埋める配慮に合掌。

響忍寺
響忍寺に到着するまでに、2軒の大津市の門徒さん宅で小休止をさせていただきました。朝早くから手厚いおもてなしでした。一行が響忍寺のある集落に入り、お寺の大きな甍に向かって進んでいくと、コーラスによる真宗宗歌が聞こえてきました。響忍寺サンギーテ、コールサンガの2団体による混声合唱団によるものでした。引き続き本堂の中で音楽法要が執り行われました。法話に続き「山科の道」が歌われ、「恩徳讃」も合唱団の皆さまと声をあわせて歌うことができました。お見送りは「めぐみの」という歌でした。

境内には報恩講でも読まれる蓮如上人の「大坂建立の御文」のことばが石碑となって私たちの背中を見つめていました。

「それについて、この在所に居住せしむる根元は、あながちに一生涯をこころやすくすごし、栄花栄耀をこのみ、また花鳥風月にもこころをよせず、あわれ、無上菩提のためには、信心決定の行者も繁昌せしめ、念仏をももうさんともがらも、出来せしむるようにもあれかしとおもう一念のこころざしをはこぶばかりなり。」(御文4帖目第15通抽出:明応7年11月21日。蓮如上人入寂4ヶ月前のもの)

蓮如上人が最晩年になって遺したお言葉です。相馬豊随行教導から、「蓮如上人の道は念仏の道、念仏を申す人を願う道」というご法話をいただき、真宗寺院建立の原点が確かめられ、出立することができました。

門徒さんのお宅にお立ち寄り
門徒さんのお宅にお立ち寄り

讃仰歌に出会えた喜びを伝える責任を感じられ坊守さん中心に活動されています。
讃仰歌に出会えた喜びを伝える責任を感じられ坊守さん中心に活動されています。

響忍寺での勤行。余間には蓮如上人の御絵伝がかけられています。
響忍寺での勤行。余間には蓮如上人の御絵伝がかけられています。

音楽法要でのお迎え。大津市合掌フェスにも参加しているそうです。
音楽法要でのお迎え。大津市合掌フェスにも参加しているそうです。

響忍寺をお立ちになります。
響忍寺をお立ちになります。

大坂建立の御文。前の御本堂の瓦を使ったモニュメント。前住さんがお好きな一節だそうです。
大坂建立の御文。前の御本堂の瓦を使ったモニュメント。前住さんがお好きな一節だそうです。

大津別院(大津御坊)
大津別院は、近江の国にある4つの別院(長浜・五村・赤野井・大津)の一つです。大谷派と深い歴史のある門徒衆の信仰の篤さがうかがえ、旧街道沿いの交差点や玄関先まで出てこられ合掌されるお寺さん門徒さんの御姿にその歴史を感じました。

別院は東本願寺を創設した教如上人が慶長4年(1599)に建立され、德川家康との会合に使われたという由緒をもちます。1600年の関ヶ原の大戦の決着が9月15日。直後、9月20日に家康の上洛凱旋をこの大津別院で迎えたということです。1602年の家康上洛の折にも坊舎を宿所として提供しています。

大津の高層ビルに囲まれてある境内地にある大きな伽藍。慶安3年(1650)に再建された本堂と、その21年後の寛文10年(1670)に建立された書院は、国の重要文化財として保存されています。

御影道中の一行をお迎えいただいたのは、大津別院の磯野恵昭輪番。磯野輪番は京都の山科別院、伏見別院の輪番でもあり、数年前までは福井の吉崎別院の輪番もされていました。御影道中の宰領や供奉人の方々などは、その頃からのお付き合いだそうで大変懐かしそうでした。

旧東海道を歩いていることが分かります。
旧東海道を歩いていることが分かります。

大津別院。雨がだんだんと強くなってきました。
大津別院。雨がだんだんと強くなってきました。

閑栖寺
京都山科に入る前の最後の滋賀県の休憩所が閑栖寺です。御影道中の一行がお寺に近づくと、「ドーン、ドーン、ドーン」と大太鼓の音が聞こえてきました。お寺の山門の上にある太鼓楼からの音だということが分かりました。閑栖寺のご門徒衆、ご住職や寺族の方々の御接待を受けて、いよいよ京都市中に入っていきます。

御影御到着の前の午前10時からお待ち受け法要が執り行われていました。それぞれの寺院がこのように御到着の前に御法要を営む。御影道中が広大な地方を股にかけた一大仏事であることが再確認されます。

「弥陀をたのめば南無阿弥陀仏の主となるなり」(蓮如上人御一代記聞書)。

門前に掲示された閑栖寺の今月の法語です。

聞法を続けてこられた閑栖寺の御同行が、上人道中お迎えのことばとしてお選びになったお気持ちに思いを馳せました。

太鼓楼からの太鼓の音は雨音を破り、かなり遠くまで響いてきました。
太鼓楼からの太鼓の音は雨音を破り、かなり遠くまで響いてきました。

閑栖寺でのお待ち受け。
閑栖寺でのお待ち受け。

山科別院(長福寺)
雨の降りしきる中、旧東海道を黙々と京都へ。途中、きつい坂道はみんなで「よいしょ、よいしょ」の掛け声。逢坂の関を越え山科に入ってきました。山科の狭い路地を通り抜けて、まずは蓮如上人御廟へお参りです。

お参り後、山科別院に入りました。今年の4月から装い新たにスタートした大谷専修学院山科学舎の弧野秀存学院長はじめ多くの学院生たちが、門徒さん方、山科別院輪番、吉崎別院輪番と共に出迎えてくれました。蓮如上人も久しぶりに御旧跡にお立ち寄りになり、ホッとされていることでしょう。

「寺中は広大にして無辺、荘厳はただ仏国のごとし」と讃えられた山科本願寺。蓮如上人在世の姿とは違うのですが、今でも蓮如上人を慕う全国の真宗門徒の御信心の結晶です。

さあ、いよいよ御本山真宗本廟に向けて御出立です。あとわずかの道を、お念仏とともに一歩一歩踏みしめて行きます。

これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関
これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関

山科別院の蓮如上人御廟所まえで読経。
山科別院の蓮如上人御廟所まえで読経。

上人由緒、山科別院に御到着。山科別院・吉崎別院輪番もお迎えです。
上人由緒、山科別院に御到着。山科別院・吉崎別院輪番もお迎えです。

山科別院での相馬教導の法話
山科別院での相馬教導の法話

真宗本廟(東本願寺)
山科から東山に入り、五条橋に降りて来ました。普段車でしか通らない道を通ったり、全く気づかなかった歩道専用路があることに驚かされました。烏丸五条の交差点を南に曲がると、御影堂門の姿が京都タワーを背景に浮かび上がってきました。「いつも見てる光景が、御上洛の今日はまた違う」。御影道中の列を整え、いざ御本山に入ります。

東山入りの細い道。歩行者専用です。
東山入りの細い道。歩行者専用です。

五条橋を渡っていよいよ御本山へ。「蓮如上人さまのお通り~」の声も大きくなります。
五条橋を渡っていよいよ御本山へ。「蓮如上人さまのお通り~」の声も大きくなります。

御影堂門が見えました。
御影堂門が見えました。

本山前の五条通を南行。あと100メートルで阿弥陀堂門。
本山前の烏丸通を南行。あと100メートルで阿弥陀堂門。

阿弥陀堂門に入ると、本山宗務所組織部の担当者がきちんとした出で立ちで先ずはお迎え。阿弥陀堂の縁側に、里雄康意宗務総長をはじめとした内局員、本山職員、門徒さん。観光の方々がお迎えに来ていただいている姿が見えます。

御影堂前に御輿を引き、親鸞聖人御真影に帰山のご報告をし阿弥陀堂へ。みなでの記念撮影を経て御帰山式が執り行われました。御帰山式では、里雄宗務総長から、すべての関係者への御礼と道中のご苦労がねぎらわれました。

御真影まえに報告を!
御真影まえに報告を!

本山阿弥陀堂での御腰延ばしの儀が始まります。
本山阿弥陀堂での御腰延ばしの儀が始まります。

第343回御影道中、みんなで記念撮影
第343回御影道中、みんなで記念撮影

引き続き、随行教導の相馬豊師(金沢教区道因寺住職)より挨拶をいただきました。

「仏事としての御影道中で様々なご縁をいただきました。御住職の葬儀が終わって間もない善良寺さま。(立ち寄るか)悩んでいると、ご遺族から、亡くなった住職は蓮如上人が5月3日にお立ち寄りになられることを心待ちにしていた。どうぞお立ち寄りください」と。「数多くの方々の合掌の道でした。アスファルトに正座して合掌されていた方々もいらっしゃった…」と。

「様々な方が、蓮如上人の道、お念仏の道をわたしも歩みたいと思っている。その姿が合掌の道として続いています。蓮如上人の念仏を申してくださいという声の中に、人として生まれ、生きていく、その意味をもう一度問い直していく、それが仏事としての御影道中です」と結ばれました。

伝えていかなくてはならない道は確かにある。宗祖親鸞聖人御遠忌から5年、蓮如上人500回御遠忌からはや18年。吉崎坊舎建立545年、343回目を無事終了した御影道中が願う道は、いつの時代にも、どのような人にも開かれた道なのでしょう。

御腰延ばしを終えた蓮如上人。大変、おつかれさまでした。
御腰延ばしを終えた蓮如上人。大変、おつかれさまでした。

 



■傳久寺(滋賀県草津市) 宿泊所

傳久寺

傳久寺


■響忍寺(滋賀県大津市)

響忍寺

響忍寺

 


■大津別院(滋賀県大津市)

 大津別院

 


■閑栖寺(滋賀県大津市)

閑栖寺2

閑栖寺

 


■山科別院(京都府京都市)  昼食会所

山科別院

山科別院

 


■真宗本廟(京都府京都市)

東本願寺

 


東本願寺