稱名寺の門前を華やかに彩る掲示板
「華やかな掲示板を立てておられているご寺院があるよ」との声を聞き、今回、小松駅前の通りに甍を連ねる稱名寺さんを取材いたしました。
稱名寺さんでは、行事案内などの掲示板を立てられる際に、文字といっしょに手描きの絵を描かれています。
住職(佐々木五六氏)に話を伺うと、掲示板を見ていて「文字だけではインパクトがないな」と思われたことをきっかけに絵を描くことをはじめられたそうです。絵はお寺の事務をされている中 文子さんが描かれているとのことで、住職とイメージ合せを行いながらおおよそ2日がかりで執筆されています。「雪の時期に春を思わせる絵をかくと皆が楽しみにしてくれるのではないかと考えています」と、見られる方への心遣いが温かい筆遣いにもあらわれていました。
当初は坊守さんが描いていたそうですが、独特のタッチをもった坊守さんの絵だと迫力がありすぎて文字が負けてしまうから、と笑みを浮かべながら話されていました。
本当に聞法できるところは少ない
これまでの掲示板もありますよ、数十点にわたる力作を見せていただきました。お寺のフリーマーケットやコンサート、フィルムフォーラム、お寺DEマルシェ、門徒余技展など沢山の行事の案内があり、なかには行政と協力しながら行っておられる地域イベントの案内もありました。
掲示板の数もさることながら行事の多さにも驚かされました。なかには1回で延べ300人ほどがお寺を出入りするものもあるそうです。
継続の秘訣をお伺いすると、
「亡くなった方々は多いですが、その人たちのおかげで続けてくることができました。最初は寺に人を集めようと必死になっていたような気がします。一緒に頑張ってくれた坊守はしんどかったと思う」。
「かつて和田稠先生から「あなたたちは若い人を集めよう、集めようとしているが、本当に悩みを抱えた子が来たら、君たちは何を答えようとしているのか」と言われたことがあります」。
様々な先生方との出会いの中で、心につきささる言葉をいただきながら歩んでこられた住職さんのお人柄を感じることができました。
「お寺に居るものはなかなか聞法できません。本当に聞法できるところは少ないし、門徒はそれを見抜いていらっしゃる」「今、あなたを支えているご門徒は、前の住職が育てたのです。あなたは1人の念仏者生み出せばいいのです。焦らないでゆっくりやりなさい」とおっしゃってくださった藤元正樹先生のお言葉が今でも胸に響いてきます」。
と話してくださいました。
掲示板に工夫を凝らしながらさまざまな行事を開催されている住職のお姿に、門徒さんの聞法の場づくりと共に自らの聞法の場も大切にしていこうとされる熱い思いを感じました。
2016年8月1日
小松教区第2組稱名寺
住職:佐々木五六氏