2000(平成12)年 真宗の生活 12月 【葬構・法事】
<仏さまのお仕事>
「法事」といえぽ、亡くなった人の命日に行われる年忌法要のことを指しますが、本来「法を中心にした行事」という意味です。葬儀や日々のお勤めも含めて「仏事」といいます。仏事とは実は「仏さまのお仕事」のことです。
先日も伯母の葬儀があり、お参りにいってきました。伯父の十七回忌を約束してすぐでした。七日ごとのお参りの合間、約束の日に年忌をすませました。何度かのお参りのたぴに孫たちは、「正信偈」を声を合わせてお勤めし、それが終わると楽しそうに遊んでいます。自分の祖父母が亡くなったときを考えても、いとこどうし、ひさしぶりに会ってなぜか楽しい時間でもありました。
こどもにとって「死」は遠いものです。考えてみれば、大人でも経験したことがないので知りません。けれどもどこかでイメージを作って怖れてもいるし、考えたくないというのが正直なところでしようか。なにも知らなければとさえ思います。
人問とは、さまざまなことを知って生きてゆくものです。それは避けてとおれません。それによって人生に意味が与えられもするのです。そして、その人生の両端には誕生と死があります。それは自分を支えるいのちの内容ですから、それを見ずに喜んでも悲しんでも、土台のない家のようなものといわねばなりません。
お釈迦さまの最後の説法は、自らの死によって一切の「無常無常」を示すことでした。それが人問のすがたです。それを知ることから仏教は始まります。そこでは「生と死」のこの人生に新しい意味が見いだされるのです。
『真宗の生活 2000年 12月』【葬構・法事】「仏さまのお仕事」