死刑制度問題についてのお知らせ
死刑執行の停止、死刑制度の廃止を求めて
日本において、国民の多くが死刑の執行を支持していると考えられています。しかし、死刑執行を支持するこの「国民感情」の中身は、「被害者やその遺族のため」という「正義」を盾にした、私たち人間の中にある恨みや報復、制裁という「暴力」を正当化する心です。そこでは奪われた被害者の命に対する悲しみや慈しみの心は置き去りにされています。そして、犯罪を起こした者のいのちを奪う死刑の執行は、法に基づくものであれ国による殺人であることに変わりがなく、私たち人間が取り返しのつかない罪をさらに重ねることに他なりません。死刑の執行は、罪深い人間の闇を自己に問うことなく、罪を犯した人を排除することであり、遺族の救済や問題の本質的な解決にはつながっていきません。
死刑執行の停止、死刑廃止を求める声明
真宗大谷派は、死刑執行の停止、死刑制度の廃止を求めて、宗務総長名での声明を出しています。
『法句経(ダンマパダ)』には、「己が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ。」という仏陀釈尊の言葉が伝えられています。「己が身にひきくらべて」とは、死刑制度を考えるときには、制度によって人の命が奪われている事実を、同じ命を生きる者として考えることです。釈尊の教えを聞く者として、その事実から目をそらさず、死刑によって続く暴力の連鎖を終わらせなければなりません。
「宗派声明」
「死刑を止めよう」宗教者ネットワークへの参画
「死刑の執行を止め、死刑についての議論を広く行い、命について考える機会をできるだけ多く設けよう」と、各宗教者および宗教団体により2003年に結成された超宗派のネットワークです。真宗大谷派もこの趣旨に賛同し、解放運動推進本部が窓口となり取り組みに参加しています。
主な活動としては、毎月の定例会議に加え、「死刑廃止セミナー」を年2回、死刑に関わるすべての人に思いを馳せる「死刑執行停止を求める諸宗教による祈りの集い」を年1回開催し、活動しています。