【別院の庭園を整備する取り組みから始まった】
京都教区仏教青年会では、2010年から開始された岡崎別院(京都市左京区)の庭園整備事業を契機として、別院の清掃奉仕の取り組みを続けている。
それまで、岡崎別院の庭園は竹藪や雑草が生い茂り、大量の落ち葉にも全く手が付けられずに庭園を歩くことすらままならない状態で、隣接する幼稚園にまで木々が茂って安全確保にも支障をきたすほどに荒れていた。そのような状況が慢性化した背景には、庭園整備を業者に依頼できるだけの資金も無く、別院には輪番と列座1名の2名だけが常駐しているという状況があった。
そこで、就任したばかりの福田 大輪番が、別院の庭園整備の協力を崇敬地域の住職に呼びかけたところ、京都教区仏教青年会の役員を務めていた中島 浩彰住職(山城第2組 浄慶寺)が仏教青年会へも呼びかけ、庭園整備事業に参画することになったそうだ。
福田輪番の呼び掛けによって、別院の所属門徒や崇敬地域の寺院の方々、仏教青年会の会員に加えて近隣の障がい者支援施設に所属する方々が奉仕作業のために集まり、まずは竹藪の伐採や落ち葉の処分から始められ、作業開始から1年半を経た2011年夏頃には、木々の剪定や池に架けられた橋の修復に至るまでの作業を担われ、見違えるほどの庭園になった。
【「人が集まる場所」という寺院の役割を回復する】
清掃奉仕の作業を通じて、地域の方々と崇敬地域の寺院の方々との関係も深く結ばれるとともに、その方々にとって別院が「大事な場所」として認識され、整備事業に関わることが「生きがい」のようになった方もおられたようだ。その様子を見た福田輪番は、協力をいただいた方々へのお礼と今後とも別院に親しみを持っていただきたいと願って、2011年7月には、福田輪番の前任地である北海道から本場のジンギスカンを取り寄せて別院の境内で振る舞い、仏教青年会もそれに併せて境内に仮設のバーを設え、有名ロックバンドのGOING UNDER GROUNDをヘッドライナーに招いて別院境内でのライブを開催した。
この取り組みによって、清掃奉仕に多くの方々の賛同を得られたほか、出演した松本 素生氏(GOING UNDER GROUNDボーカル・ギター)からも、「今回、ライブをやったのは本当に縁です。お寺は人が集まりますよ。次はフェスをやりたいですね。」という称賛のコメントが寄せられ、松本氏のTwitterには「こういうイベントがあるから音楽やってるんだなぁ…と思った」と掲載されていた。
以前はすっかり荒れ果てていた境内も、あらゆる人々が集まって整備をしていく中で、「人が集まる場所」という本来の姿を取り戻した。福田輪番は、「単に自分が思って整備したのではなくて、岡崎別院を人が集まる場所にしたいという大勢の方々の願いを自ら形にしてくださったのだと思っています。全ては集まってくださった皆さんのご尽力です」と語る。荒れ果てた庭園を再生することを通じて、人の繋がりも回復されていったのかもしれない。