滋賀県北部の中心地長浜市は3年前に合併して地域が広がり、旧市街地、郊外から田園地帯まで、さまざまな姿を見せてくれる地方都市です。そのなかでも、さらに北部の田園地帯に今回ご紹介する蓮光寺があります。ここ長浜教区は寺院の後継者難という問題を抱えながらも、一方で、20代、30代の若い住職が誕生しています。蓮光寺もそのうちの一つ。現住職は福井県出身で、縁あって入寺されたのが6年前の21歳の時。昨年、結婚されて充実した毎日を過ごしておられます。筧(かけひ)住職にお話を伺いました。
「入寺した頃に一番驚いたのは、ご門徒さんが、皆声をそろえて「正信偈」をお勤めされることです。その理由として皆さん一様に、子どもの頃に日曜学校でお勤めを習ったことを挙げられます。この地では当然のことかもしれませんが、私が生まれ育ったところではそのような習慣がなく、とても新鮮な驚きがありました」とのこと。
「ご門徒さんとの出会いから日曜学校の大切さを教えていただきました。日曜学校を開きたいと地域の方々と話し合い、本山の絵本百冊プレゼントに応募すると、当選しました。こういった機会に恵まれ、2008年から文庫設立とともに、日曜学校を始めました。50年後も声をそろえて「正信偈」が勤まる地域になってくれていたらと思います。子どもと遊ぶことも好きで、楽しい場になるようにこころがけています」と嬉しそうに話されました。
日曜学校以外にもこの数年の間に、月例役員会、ご命日のつどい、寺報の発行、子ども会除夜の鐘つき、夏のつどいなど、積極的かつ着実な取り組みをしておられます。
「当初、お寺での活動について思うところはたくさんありました。気持ちばかり先にたち、空回りすることもしばしばありましたが、自分の周りにいてくださる人々の声を聞かせていただくなかで、おのずと方向性が定まってきているように思います。『寺を開く』といっても、住職が何かをしなければというだけでなく、地域の皆さんとの豊かなコミュニケーションをとることがとても大切だと思います。こちらに引っ越してきた当初、『お育てやでな』と、伝えてくださった先輩ご住職の言葉が身に沁みます」と住職さん。
現在、自坊の法務だけでなく、2008年10月から長浜別院列座としての勤務も始まり、多忙な日々を送っておられます。若い住職と門徒さんの意欲的な取り組みはこれからも続けられていきます。
(長浜教区通信員 堀澤俊行)
『真宗 2009年(1月)』
「今月のお寺」長浜教区第18組蓮光寺
※役職等は『真宗』誌掲載時のまま記載しています。
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