「門徒と僧侶で創る元気なお寺づくりアワード」は、
● 2014年度の日豊教区「元気なお寺づくりセミナー」
● 2015年度の岡崎教区「お寺の元気塾」
● 2016年度の長浜教区第24組、京都教区湖南地区での「元気なお寺づくり講座」
の修了寺院を対象に、講座で作成されたお寺の事業計画書(「寺業計画書®」)のその後の歩みを応募いただき、その中から、選考会を経て3ヵ寺を表彰する企画です。
表彰寺院へは寺院への賞品として「寺院活性化支援助成金(10万円)」ならびに、副賞として「五環正宗(一升瓶6本)」をお贈りし、僧侶と門徒が一緒にお寺を創る「共創」を視点とした取り組みが継続されていくことを願いとしています。
今回、対象寺院にご案内しましたところ、7寺業(取り組み)の応募をいただき、どの寺業も選考基準を満たす素晴らしい内容ばかりで、表彰寺院の選考は困難を極めましたが、中でも、特にご門徒が主体に活動に関わっておられる様子が伝わってくる寺業を表彰する運びとなりました。
表彰寺院は、
◎ 岡崎教区 第14組 專興寺さん
◎ 長浜教区 第24組 浄敎寺さん
◎ 日豊教区 日田組 西光寺さん
です。
表彰式にはご門徒方が集い、草野龍子参務から表彰状並びに寺院活性化支援助成金の目録、副賞の五環正宗が贈呈され、住職とご門徒代表から、受賞の喜び、寺業の取り組み概要、今後の意気込みなどが語られました。
表彰式の様子とそれぞれの寺業についてご紹介します。
◎ 岡崎教区 第14組 專興寺さん
「自主的に門徒達が進める『專興寺経営委員会』の発足と運営」
「專興寺経営委員会」は2016年10月に発足し、全8名の門徒で構成されています(委員会は住職・坊守・寺族も同席されます)。
すでに、おあさじ会、法話に親しむ会、聖徳太子会、御命日の集い、書写の会、和讃講、十日講等々たくさんの寺業をなさっており、ご門徒方に役割をお任せし、充実した寺院活動をなさっておられますが、将来の住職や役員の交代や、時代の変化を見据えつつ、継続的かつ健全な活動を続けるための基盤づくりを目指して、この委員会は設置されています。
経営委員会の役割は、各種寺業の見直しの他、新たな企画の立案もなさっておられます。これまでに、年3回の寺報『專興寺だより』の発行や「寺カフェ7676(ナムナム)」を新設するなど積極的な活動もあり、新たな方の法要参詣に繋がってきているとのことです。
特に、経営委員会の構成員でもある応募者の中山さんは、
「一般企業の経営者を中心に構成していますが、企業や世の中の価値観でやるのではなく、お寺・仏教の教えを理念として“寄り添う空間・心が安らぐ時間“を大切に、社会のニーズとどう繋がっていくかを考えています」
と仰います。
この視点を元に、地域と密着した活動が展開され、実際に、所属門徒でない方も自由に関わることのできる環境になっていることがわかりました。
「專興寺経営委員会」の展望として、「今後30年後を見据えて、次世代のあり方を明確にしていけるような活動に励みたい」との力強い言葉も聞けました。
◎ 長浜教区 第24組 浄敎寺さん
「報恩講の参拝者を倍にする3か年計画」
これまでに大切に勤めてきた報恩講の参詣者が減少していることに危機感を感じたご門徒さんを中心に計画されたとのことです。理念だけで終わってしまうことがないように、3か年で参詣者を2倍にするという具体的な数値をもって計画されています。
具体的な取り組みは、御伝鈔の拝読に合わせ、映像と解説文をプロジェクターで投影することをなさっておられ(映像係は門徒さんが担当)、参詣されているご門徒方にも「わかりやすい」と好評です。
また、定例の同朋の会を通して、報恩講のお勤めを皆で唱和できるよう別院の列座を講師に迎えての勤行練習や、ビデオ教材を使用しながら七高僧の学習をなさっており、通年の取り組みを通して報恩講の参詣に結びついています。
こういった同朋の会を通した取り組みは、毎月の御命日の集いの際に、定例の役員会を行い、そこで同朋の会の内容を決めておられ、それまでは外部講師を招聘した会だったのが、住職と門徒さんでの自主的な学習内容に変わったとのことです。ご門徒さんが積極的に意見し、また、報恩講でもそれぞれに役割を担って勤められています。
浄敎寺さんの報恩講は3日間かけて勤められ、昨年は計画されて2年目の報恩講でしたが、参詣者の延数が1.6倍になったとのこと。
今年は3年目を迎え、目標の2倍を目指した一層の意気込みが感じられます。
1年を通して報恩講に取り組まれる浄敎寺さんですが、この計画のきっかけは「元気なお寺づくり講座」を受けて。受講されて一番変わったのは、「住職と門徒の関係性が密になった」と仰っています。
◎ 日豊教区 日田組 西光寺さん
「世代を繋ぐ推進員を中心とした学習会」
推進員を中心とした学習会を継続する中で、次の世代へ引き継ぐ仕組みづくりを目標にされた取り組みです。推進員が積極的にお寺を支え、その関わりの中で人が育ち、また法縁が拡がり続けることを願いとされています。
(推進員とは…住職や寺族と協力して同朋の会の結成・充実を推進する担い手で、親鸞聖人の教えを共に聞き、お寺の教化活動に協力して歩んでいただく方です。「同朋の会推進講座(推進員養成講座)」を経て、推進員となります。)
具体的には、年に3回の学習会が開かれました。
第1回で、ワークショップを行い、門徒さんの思いや求めが何かを確かめられました。
第2回は、第1回でのワークショップで出た声を元に、「お内仏の荘厳」と「仏花の生け方の実演」を実施されました。
そして、第3回は他寺院の推進員の歩みを学ぶため、他寺院の住職を講師に招いた学習会と懇親会が開かれ、他寺院の推進員との繋がりも生まれています。
また、学習会と並行して、報恩講では『御伝鈔』拝読時の練り出しを推進員が担われ、事前の練習を経て、厳かに勤まるようになったとのことです。
これまでの取り組みを経て、「推進員一人ひとりが、どうすればよりよくなるかとアイデアを出し合い、主体的な活動が生まれた」と仰っています。
また、次世代にも役割を設けて、新たな推進員に繋ぐ仕組みをつくられています。
今後は、学習会を継続しつつ、関係学校との縁がある強みを活かして、生徒との繋がりも含めた活動に繋げていかれるとのことでした。
引き続き、寺業の展開に期待しています。