● 門徒会員同士の意見交換の場 ●

京都教区近江第26組(滋賀県高島市)では、2年前から門徒会員同士が共に学び、意見を出し合い、情報交換をする場として「組門徒会・推進員合同懇談会」を開催しています。

去る2019年11月15日、エルブライト寿光苑を会場に今年の懇談会が、門徒さん21名、寺族8名の参加で開催されました。

今回の懇談会は、お寺を取り巻く環境が知らず知らずのうちに、刻々と変化している中において、これからのお寺と仏事のあり方を参加者それぞれが主体的に考える機縁とすることが目的とされました。

『元気なお寺づくり講座』のプログラムを用いての参加型講義
『元気なお寺づくり講座』のプログラムを用いての参加型講義

● 参加型講義「お寺を取り巻く環境の変化」 ●

まずは「お寺を取り巻く環境の変化」について、参加型の講義が行われました。講師は企画調整局から松田亜世参事(寺院活性化支援員)が出向し、最初に日本の人口減少や世帯の分散化の様子、さらに教勢調査の結果等から、門徒が門徒を育ててきた時代が終わりつつあるという今日の宗門の教化の課題を確かめました。続いて、企画調整局が取り組む『元気なお寺づくり講座』のプログラムの一部を参加者の方々に体験していただきながら、お寺を取り巻く環境の変化を参加者それぞれに考えていただきました。

 

 

● なりきって考える「これからのお寺と仏事」 ●

法事について考える設問スライド
法事について考える設問スライド
「YES」・「NO」のカードを挙げる参加者
「YES」・「NO」のカードを挙げる参加者

後半のワークショップは、「クロスロード」というゲームを応用して、これからのお寺と仏事について、参加者同士で語り合っていただきました。この「クロスロード」は、もともとは防災の意識を高めるために考えられたゲームです。クロスロードには、重大決意をすべき十字路・岐路というような意味があります。

具体的には、次のような設問があります。

「あなたは市民です。大きな地震が起こりました。避難所(小学校体育館)に避難します。家族同然の飼い犬・ゴールデンレトリバーのモモもいます。飼い犬を一緒に避難所に連れて行く?YESかNOか」、そしてYES・NO選んだ理由を班で話し合い、意見を交換するというものです。

今回は、①「法事について」、②「葬儀について」、③「お墓について」、④「寺院の維持について」、⑤「お寺の行事について」の5つのテーマについて、それぞれ下記のような設問を作り、参加者の方々にそれぞれ思うところを話し合っていただきました。

 

(例)

【お墓について】

《あなたは京都市内に嫁いだ一人娘です》

・実家に帰ると70代の両親が「墓じまい」について話題にしています。

・両親は「あなたや孫に迷惑をかけたくない」と、墓じまいをして近くの納骨堂を探す意向のようです。

⇒ あなたは墓じまいに賛成する?

 

【お寺の行事について】

《あなたは住職です》

・報恩講は毎年2日間勤めています。

・お参りの人数は10年前に比べると半減。

・門徒総代から「報恩講を1日にしてはどうか」との声が上がっている。

・一方で、2日間熱心にお参りされる90歳の念仏ばあちゃんの顔も浮かんでいる。

・日程を一度簡略化すると二度と元の形に戻せそうにない。

⇒ 門徒総代の声に応えて報恩講の日程を簡略化する?

 

「YES」・「NO」それぞれを挙げた理由について語り合う参加者
「YES」・「NO」それぞれを挙げた理由について語り合う参加者

参加者の門徒さんに加え、組の教化委員会スタッフの僧侶も加わり、率直に思うところを話し合っていただきました。YES、NOどちらが正解という訳ではなく、様々な考え方があることを設問で示された立場の方に「なりきる」ことで、参加者同士が想像しながら共有することができていたようです。

参加された方々からは、「グループワークだったので、身近に皆さんのお話を聞くことができてよかったです」(推進員)、「こういう会合をもっと開くと、お寺と門徒が近くなるのではと思った」(推進員)、「短い時間ながら、とても端的にお話を聞かせていただき、楽しくワイワイと意見交換ができました。“座談”“懇談”というより、ずっと気楽にお話ができました。最後、明るい心持で帰れます」(坊守)、「門徒の皆さんの率直な意見を聞く機会となりました。お寺を取り巻く環境は大きく変化していくが、何が問題なのか、どんな課題があるのかを、寺と門徒の方々と共有することにより、新しい一歩が始まるのだと思います」(住職)、「参加してみて面白いと思いました。同朋の会でもやってみたい」(住職)等といった感想が聞かれました。

 

寺院活性化支援室では、このように門徒会・推進員研修向けのワークショップ等の実施のお手伝いも行っております。ご相談は企画調整局(☎075-371-9208)まで、お気軽にお問い合わせください。