寺院活性化支援員を派遣して、お寺の現状や課題、要望をていねいにお聞きし、寺族と門徒と一緒に教化の取り組みを考える〝寺院活性化支援室 過疎・過密地域寺院教化支援”

真宗大谷派(東本願寺)では、宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要をお迎えする2022年度までの4年間、慶讃事業の重点教化施策の1つである寺院活性化の取り組みを推進してまいります。
寺院活性化支援室 過疎・過密地域寺院教化支援では、真宗の教えとの出遇いの場、寺院が共同して聞法の場を開く取り組みが推進されることを願い、地域連続法話会の開催に対しての助成を行っています。

今回は、2021年6月7~8日に三条教区佐渡組で行われた「地域連続法話会」をレポートします。

【佐渡島とは?】

sado新潟

 

 

 

 

 

 

 

 

新潟県佐渡市は2004年に島内の旧10市町村が合併し、佐渡島全域が一つの市となっています。

佐渡島の面積は約855平方キロメートル、海岸線は約280キロメートルあり、日本では東京23区や淡路島、海外ではグアム島やプーケット島の約1.5倍の大きさがある、日本海側最大の島です。

約5万人弱の方が暮らしており、東京から最短で約3時間30分とのこと。

国の「過疎地域自立促進特別措置法」において、佐渡島の全域が過疎地域に指定されており、佐渡に住もう-佐渡市公式ホームページには、移住・定住支援情報が掲載されています。

佐渡と言えば、金山、たらい舟、トキ保護センター、などで知られています。さど観光ナビ

【真宗大谷派寺院と地域連続法話会】

佐渡における真宗大谷派(東本願寺)の寺院は30カ寺です。離島に位置するという条件から、本土で開催されている聞法会に身を運ぼうと思っても経済的にも時間的にも大きな負担が伴うのが現状です。

そこで「本来であればこちらから聞法に行くのが当然であるが、御講師には大変申し訳ないが遠路佐渡までお越しいただくことはできないだろうか」と、組内有志によって12年前から自主的な聞法会(「竊以(せつい)の会」企画され、継続的に行われてきました。

佐渡組としても、この活動を大切にしていきたいとの思いから以前より助成がなされており、寺院活性化支援室 過疎・過密地域寺院教化支援としても、この取り組みの輪をより一層広げていってほしいとの願いから、このたび「地域連続法話会」の助成を行いました。 

 

この「竊以の会」は結成以来、 廣瀬 惺 先生(大垣教区妙輪寺住職/元同朋大学教授)にご出講いただいてテーマを決めて開催してきました。開催当初は年2回開催してきましたが、現在では、年1回2日間連続での開催となったとのことです。

 

【地域連続法話会のレポート】

1 開 催 2021年6月7日(月)15時~18時   廣永寺

      〃   6月8日(火)9時~11時30分   善宗寺

2 テーマ 『阿弥陀経』

3 講 師   廣瀬 惺 先生(大垣教区妙輪寺住職/元同朋大学教授)

 

それでは、地域連続法話会のレポートとして、関係者の皆さんの声を中心にその様子をお伝えさせていただきます! 

<佐渡への往来はカーフェリーかジェットフォイル> 

佐渡への往来は、カーフェリー(所要時間約2時間30分)かジェットフォイル(同約65分)を利用します。

カーフェリーのおけさ丸とジェットフォイル
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<聞法の会場は廣永寺さまと善宗寺さまの2カ所> 

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初日会場の会場は廣永寺さまです。近くには、佐渡金山跡北沢浮遊選鉱場跡、弁慶のはさみ岩があります。

 

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 二日目の会場は、善宗寺さまです。海のすぐそばのお寺です。

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2020年からの新型コロナウイルスの世界的流行で、様々な行動が制限される中でありますが、この度は各回約10人の僧侶・ご門徒が参加しました。

 船の関係で、どうしても時間にある程度の制限が生じ、初日は15時~18時頃まで、翌日は9時~11時30分頃までという時間での開催となりました。

 

<参加者された方へのインタビュー> 

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 「竊以の会」発起人のお一人でもある 大久保州 さん(廣永寺住職)のお話 

――どのような経緯でこの会が始まったのですか? 

大久保さん 

「ご存じの通り佐渡は離島であり、教区の教化拠点である教務所や別院から見れば遠隔地に位置します。そういった状況下で本土開催の聞法会・研修会に参加しようとすると、朝から船で移動し、午後からの聞法会に参加、帰宅するのは深夜、といったように最低でも丸一日掛かってしまいます。これではお寺の法務と両立していくことは非常に難しい。 

さらにフェリーやジェットフォイル等の船代に加えて、港から会場までの移動経費も発生し、経済的な負担も大きい。これは僧侶だけではなく、聞法のために船に乗るご門徒も同じです。 

そのような状況であるならば、本来自らが聞法会に身を運ぶのは当然の事なのですが、大変恐縮ですが御講師に佐渡まで来ていただけないだろうか?一人一人が「行く」のではなく、講師に「来て」いただいた方が負担も小さくなり、一人でも多くの方にご参加いただけるのではないか? と考え、有志の4カ寺ほどが合同で12年前から聞法会を始めました。」 

――会で大切にされていることはありますか? 

大久保さん 

「あくまでも「聞きたい人」が主体的に企画・参加して会を作っていくということです。もちろんより多くの方からご参加いただきたいのですが、誰かに連れられて何となく…というような姿勢ではないからこそ、参加費(※移動や宿泊費等を捻出するにはどうしても高額になります)も納得してご負担いただいているのだと思います。高額ではあるのですが、私たちが佐渡から本土会場まで行くとすれば、交通費や宿泊代、時間的負担等、どうしても同程度かかってしまうので 妥当な参加費であると考えています。 

昨年は新型コロナウイルスの影響でやむを得ず開催を見送ることになったのですが、今年どうしようかと考えた時に、もうそろそろ聞きたい!やっぱり聞かないと!という声がたくさん寄せられ、この度の開催に至りました。 

聞法会だけではもったいないので、廣瀬先生のお勧めで曽我(量深)先生の本の輪読会を毎月開催しています。 

ちなみにこの聞法会は当初は無名の会でしたが、一昨年に廣瀬先生より「竊以の会」と命名いただきました。」 

(廣瀬先生揮毫の会名額) 
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佐渡組組長 松本雅裕さん(善宗寺住職)のお話 

――組としてどういった意図で有志の会のサポートを行っているのですか? 

松本さん 

「もちろん佐渡組としても多くの教化事業を展開しており、有志に丸投げしているのではないですよ(笑)。大切にしているのは事業を乱立させるのではなく全体を見渡して協力しながらやっていくことです。教化に励もうとすると、ややもすると事業数を増やすことになりがちですが、それでは限界があると思います。新しいものを増やすのではなく、今あるものを大切にしていく、活用していくという視点を大切にしています。 

特にこの「竊以の会」のサポートにあっては「自主性を育てていく」ことを一つのテーマにしています。組のサポートと共に組内有志が教化事業を実施計画する自主性を養ってもらうことは、結果的に将来の佐渡組の教化事業を担ってくれる人の育成に直結すると考えます。 

それに加え、組の共同教化の現場を増やすという意図もあります。人口減少の中でどうしても一カ寺単位での教化事業に注力できないというご寺院もあります。人口減少は地域の課題です。だからこそ、その地域で構成される組として教化の現場を担保していくことは必要なことだと考えます。」 

――今回は「地域連続法話会」の助成となりましたが、その他に組としての悩みやお困りのこと等があればお聞かせください。 

松本さん 

「今回、我々の取り組みをしっかりと見てもらえて、宗派から助成を頂けたことは本当にありがたいことでした。しっかりと遠隔地でも支援していただけるという安心感がありました。 

今課題となっているのは人口減少によって、維持管理が困難になっているお寺が出始めていることです。住職・代務者がおらず、様々な手続きを進めようにも相談すらできないという状況のところもあります。 

今後現実的な問題として、組織的に考えていかねばならないのではないでしょうか。」 

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御門徒として参加された 奥田富子 さん(勝廣寺門徒) のお話 

――参加されたご感想をお聞かせください。 

奥田さん 

「『阿弥陀経』というとお坊さん向けの内容のようですが、一介の門徒にもしっかり伝わるように先生から聴かせていただき、すごく新鮮な気持ちになりました。 

佐渡に住んでいても組や各御寺院のお力添えで様々な聞法会に出ることはできますが、基本的に組内の方々から御講師を務めていただく事が多くなります。他教区の方や著名な先生のお話を聞こうとなるとやはり島外に出るしかありません。 

その中で今回のように負担をし合って、御講師に「来ていただける」というのは本当に有難いことです。」 

【最後に】

 

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(金銀の採取が行われていた北沢浮遊選鉱場/50mシックナー) 

佐渡は金山に代表される独自の歴史や、様々な背景を持つ伝統文化、美しい自然等素晴らしい魅力が詰まった地域です。その一方、現在は約50,000人の方が生活されていますが、人口減少の波は大きく毎年約1,000人ペースで人口が減っています。 

人口減少そのものは地域の課題であり、一部の人や組織だけで解決したり、コントロールすることは困難です。大切なことは、そういった状況だからこそ自分たちにできることを見極め取り組んでいくことなのではないでしょうか。 

 

「地域の課題だからこそ、組で力を合わせて取り組んでいく」

(松本組長) 

 

佐渡という地域共通の課題としっかりと向き合い、有志の会のサポートを通して、組として教化の現場を創出されている松本組長のお言葉が、強く印象に残りました。 

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MicrosoftTeams-image「『阿弥陀経』は難信を問題としています。一人で聞き、信ずることは極めて難しい。みんなで場を共にし、教えを聞きあうことが必要です。だからこそ、こういった聞法会が開かれ続けていかねばならないのです。そこを宗派が支援していくというのは素晴らしい取り組みなのではないでしょうか」 

廣瀬先生から聞法会の中で頂いたお言葉をもって、報告とさせていただきます。 

 

【番外編その①】

いま、お寺に関する悩みは何ですか?

—奥田さんの悩み—

「佐渡は高齢化が進み、これまで寺へ足を運んでいたご門徒さんたちが次々とお浄土へ還られ、

次世代にお参りが相続されていないため寺へ集まる門徒も減り、「共にといえる人生を生きよう」 という課題を解決するにはどうしたらよいのか、良い知恵が浮かびません。

—大久保さんの悩み—

「佐渡は広いため、〝道場″といういわゆる支院に相当する念仏道場をお寺から離れた所に持っているお寺もあります。

ほとんどが地元のご門徒によって維持管理されてきましたが、人口の減少や高齢化の問題などから、道場を閉鎖するところも出てきました。

また、地域地域によって方言が異なったり、生活文化が違いますので、念仏の教えと共に地域の風習が大事にされてきました。

しかしセレモニーホール等の出現により、昔ながらの葬儀形態や法事の勤め方、寄り合いや講といった小さな集まりが、なくなりつつあり、大事に伝えられてきた教えに触れる機会が減少しています。

これからは、ますます僧俗共に教えに触れる機会である〝聞法会の在り方″が重要になってくると思います。」

【番外編その②】

「竊以の会(せついのかい」の名前はどこからきているのか?

〝竊以″は、『顕浄土真実教行証文類序』の冒頭にあります。 

原 文, 現代語訳. 【総序】 竊(ひそか)に以(おもん)みれば、難思(なんし)の弘誓(ぐぜい)は難度(なんど)(かい)を度()する大船(たいせん)・・・

「竊以」は、善導大師『観経疏』「玄義分」の冒頭にある表現です。「玄義分」では、「自らの思慮分別を超えたさとりの領域を、私なりに考えてみると」という意味で用いられています。

真宗聖典検索 website  https://shinshuseiten.higashihonganji.or.jp/

 

当初、別の名前を先生はおつけくださったのですが、一泊されて、翌日、「一晩考えて、やっぱり名前は「竊以の会」とします」とされました。

当初は三序から始まりした。

そして、ある時期から、廣瀬先生が晩年の曽我先生のお話を直接聞かれた方であることから、直接曽我先生を知らない私たちに曽我先生のお話をして欲しいと思い、お話ししたところ、『法蔵菩薩と阿弥陀仏』という曽我先生の本を元に、初日は「三序」、二日目は『法蔵菩薩と阿弥陀仏』のお話になりました。

現在は、2日間とも『阿弥陀経』です。

『佛説 無量寿経』の第二十願はとても大切だと思いますので、『阿弥陀経』の解釈だけでなく、『阿弥陀経』からの喚びかけをもっと聞き続けていきたいと思っています。