このたび、三条別院では、コミュニケーションカード「DODALO?」が発行されました。カードに書かれた”問い”を通じて、「自分の考えを語る」「他者の思いを聞く」ことでコミュニケーションを図るものとなっています。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、人と人が顔を合わせる機会も減り、本音や深い話もしづらい状況ですが、対面だけでなく、インターネットを通じた画面越しの対話であっても、人と人との繋がりを感じられるようなコミュケーションツールとなることも願われています。

 今回、カードの制作に関わられた三条別院列座の関﨑さんと斎木さんにお話を伺いましたので紹介します。

DODALO?カードのホームページはこちら

【カードの使い方】
●24枚のカードからランダムに1枚のカードを選び取り、カードに書いてある問いについて、考えや思ったことを話す。
●ルールは、発言を否定・批判せず、相手の意見を尊重してしっかり聞く。
●カードに記されたQRコードをスマートフォンなどで読み取ると、他の方の考えや問いについての法話を読むことができる。
●「#(ハッシュタグ)」でSNS(Twitterなど)投稿することによって、他のユーザーからの投稿もお互いに共有できる。

ゲームにヒント

 きっかけは、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、三条別院の法要も参詣者がいない僧侶だけでのお勤めが続く中、何かできないだろうか?ということで始まりました。A4サイズの文書伝道は既にたくさん出ていることから、別院の審議会では「法語カード」の制作を提案されます。しかし、これも既に他の教区に事例があったことから、自分たちは少し違った形で考えてみたいとのことだったそうです。そんな中、若者教化を視点に、ボードゲームやトークゲームのようなゲーム性を取り入れられないかということに着眼し、地元デザイン会社であるニシムラデザインさんに相談されたところ、「面白い」と共感され、デザイン監修に協力していただけたとのことでした。

足かけ2年

 着想から発行まで、足かけ2年かかったということですから、紆余曲折を経て形になったようです。当初は、会議で提案しても、なかなか共感が得られなかったことから、まずは3枚のカードづくりから始められました。これを教区の教化委員会でやってみたところ、とても盛り上がり、本格的な制作につながりました。

24の問い 

 多すぎず・少なすぎずの適正な枚数を24枚と見定め、カードの問いが検討されます。その中には「生きるってなに?」「悪って何?」といった正解のない宗教的・哲学的な問いばかりでなく、「目玉焼きには何をかける?」といった個人的な内容も加えて構成されています。

 ここには、お寺とのご縁のなかった方にも親しみやすいカードになってほしいという願いのもと、その場に僧侶がいなくても、自然に対話が成立することを目指したとのことでした。僧侶側としては、「自分たちだけで考えると、どうしても真面目なテーマを選んでしまいがちだったけれども、デザイナーさんが突っ切ってくれた」ことがユニークな問いの設定に繋がったとのことでした。

 また、各カードの問いを受けた法話は、教区内をはじめ有縁の僧侶によって執筆されています。普段、法話のテーマにはない問いもあり、関わった僧侶にとっても、いつもと違う角度から考える機会になったようです。

寺院活性化の視点から

 宗祖親鸞聖人750回御遠忌以降、三条別院は「地域の人とともに」ということをコンセプトに、様々な取り組みがされています。制作段階から地域の方と協働したつながりから、今では地域のマルシェなどでもカードが活用されているそうです。

 今回の取材を通じて、地域の方と“共創“する三条別院の活動のすがたに共感し、大切な示唆をいただきました。

 お寺には、子ども会や青壮年会、婦人会を始めとしたさまざまなお寺の集まりがあり、僧侶がお参りにいく際など、カードの活用方途は広がります。

 楽しく、本音で聞き・語る場が開かれていく手法を、お寺の同朋の会などにも取り入れてみてはいかがでしょうか。

(真宗教化センター寺院活性化支援室)