2022年11月3日、「土佐別院(四国教区)」の報恩講が勤まりました。
清々しい秋晴れのもと、日中法要と逮夜法要の二座、輪番はじめ土佐組内の住職・青年会の出仕、
土佐別院のご門徒による司会進行、そして、坊守会が作った御斎が振舞われ、僧俗約40人がつどいました。

これに先立って、10月28日、宗祖御命日のつどいに合わせて​、おみがきと障子の貼り替えを行いました。同時に、「本堂の網戸」を自分たちで作ろうという話になり、境内で網戸づくりが行われました。

これまで土佐別院では、換気のために窓を開けるにも網戸がなく、また土佐別院のすぐ上には山があり、この時期になるとスズメバチが入ってくるため、参詣の安全上換気がしづらい状況でした。そこで、近く勤まる報恩講のためにも、網戸を手づくりすることになりました。

材料は、組内寺院の所有する山林から伐り出してきたヒノキを製材し、木枠を作り、網を張るという作業。まずは本堂サッシの寸法を細かく測り、それに合わせて木材をカットして、組み合わせていきます。

出来上がった枠をサッシに持っていき、狂いがないか何度もチェック。「あ!隙間がない!!」
「今度は間が空きすぎる!!」などと試行錯誤を繰り返しながらの作業でした。

最近では木材を加工する工具が多様にあるので、それらを駆使して網を張るための溝を作り、市販の
止めゴムを埋めて仕上げていきます。完成した網戸を入れ、戸がスムーズに開け閉め出来た時は心地の良いものでした!

おみがき​に参加​した門徒さんから「器用やね、これで別院の修繕も自分らで出来るね!」、「法要の際に煙たくなくなるので有り難い」というお声もいただきました。

迎えた11月3日。見事な快晴で、11月といえどもまだ暑さが残る高知でしたが、風通しの良い本堂はとても気持ちが良く、お勤めの最中にも風が入ってきました。

法話を藤井秀昭師(四国教区東讃第一組・真行寺住職)よりいただきました。冒頭、藤井師から「現在、私たちの所属する四国教区と、お隣の山陽教区との教区改編の議論がなされている。この土佐別院のこれからについても、どのように教化の拠点としてお守りしていくかが課題ですね」という話がありました。

今回は網戸だけでしたが、「大掛かりな修繕は難しいにしても、出来る限りのことは自分たちでやっていこう」という、寺守※の一つのきっかけとなる作業でした。

※寺守=奈良県吉野の山にある、山をお守りしていくための一種の管理制度である「山守」にならって、寺を守っていく人として寺守の姿を作っていきたいという願いから執筆者が作った造語。

(四国教区 浜口和也)