伝道掲示板


The earth laughs in flowers.

(地球が、花を通して笑っている)

(ラルフ・ウォルドー・エマーソン)



パロロ本願寺は、世界的に有名な観光地ハワイ・ワイキキの街から車で10分の距離にあります。たった10分の距離ですが、山の上に位置するため都会の喧騒からは遠く、ハワイ独特の切り立つ山々の緑に囲まれ、毎日シャワー(にわか雨)が降り注ぐ水々しい所にお寺はあります。


このお寺の開教使、藤森宣明さんは北海道登別市本光寺の出身で、北米・中南米や東南アジア諸国などを歴訪する中で仏教を中心に様々な見聞を広め、1992年にハワイ開教区の開教使として渡布しました。2013年からパロロ本願寺に駐在しています。

寺報掲示と開教使の藤森さん


お寺の掲示はとてもユニークです。掲示板という枠にとらわれることなく、境内のあらゆるところで沢山の言葉たちに出会うことができます。

お寺の無農薬ガーデン


まずはお寺に入ってすぐ、南国植物の元気なフラワーアレンジメントがお迎えしてくれますが、ここにまず一つ目の言葉。次は本堂の椅子に腰掛けると、ふと目に留まる位置に貼られた言葉たち(海外寺院の参詣席は教会のような長椅子スタイル)。


そして、メンバー(門徒さん)が廃材を利用して手作りされたツリーハウスが印象的な無農薬ガーデンでも、言葉たちが出迎えてくれます。ここではメンバーや、そうではない地域の方々も協力して完全無農薬野菜を栽培しています。肥料は残飯や落ち葉などでつくる堆肥、土壌はバクテリアが養ってくれる豊かな土。その肥料ボックスの前に”In the garbage, I see a rose. In the rose, I see compost”(ごみの中に薔薇が見える。薔薇の中には肥やしが見える─ティクナットハーン)と添えられています。ただのゴミではなく、その中に美の象徴である薔薇を見出すことができる。そして薔薇をみると肥やしにみえる。枯れてしまった薔薇には価値がないように思えますが、それが肥料となって循環するのです。


掲示を見るチキン

その他にも、地域へ貸し出しているホール内や訪れた人の動線上でも様々な言葉たちを目にします。藤森さんは「自分の主張で言葉を選ぶのではなく、場所が”こんなのがいいよ”と教えてくれる」と言います。アメリカで仏教徒は少数派ですが、そんな仏教初対面の人たちに短い言葉にふれていただく挑戦です。


また教化活動の要の一つである毎月の寺報は、時事問題をテーマに書くことが多く、その問題にヒントを与えてくれる先達の教えや法語から始まります。


屋内外問わず数多ある掲示物は雨の多いハワイではすぐ破損することもありますが、その度に言葉を選ぶことも楽しみの一つだと話してくれました。


皆様もぜひパロロ本願寺言葉巡りを体験しにお越しください。


(ハワイ開教監督部)

『真宗』2022年11月号「お寺の掲示板」より


ご紹介したお寺:ハワイ開教区パロロ本願寺(駐在開教使 藤森宣明())※役職等は『真宗』誌掲載時のまま記載しています。