2005(平成十七)年から始まった御影堂の修復の調査では、熟練した職人たちが携わっていたため、再建時には多くの人々が瓦の製作に従事したにも関わらず、すべての瓦がまだらなく癖なく仕上がっていることが分かりました。

 通常、瓦の表面を磨きをかけて形を整え、表面をきれいに仕上げる作業は1回から2回ですが、東本願寺の瓦は3回もの仕上げ作業がなされており、表面が大変きれいに仕上げっています。そして、通常はある製作者の記名が、巴蓋(ともえぶた)などの一部を除き、ほとんどの瓦にありませんでした。このとから、門徒が一丸となって再建にあたっていたことが分かります。

 明治期に作られた瓦で一番大きなものは、御影堂大棟の両端の獅子口(ししぐち)瓦です。この獅子口瓦は箱型で、上に(きょう)の巻という丸い瓦を三つ載せています。御影堂の獅子口瓦は縦4.5メートル、横4メートルの非常に大きなもので、30個の瓦で組み立てられています。傷んでいないものは再度焼き直して修復し、今も地上38メートルの頂上で輝いています。

また、平瓦のうち傷んでいないものは、風雨の影響を受けにくい御影堂屋根の下層に葺きなおし、傷んでいるものについては、粉末にして新たに新調した瓦に5%混ぜました。

更に、再利用できない瓦は、すぐれた湿度調整機能がある建材「ソイルビーンズ」として細かく砕いて加工し、御影堂の床下に敷きました。

このように、明治の再建に関わったご門徒の願いを受け継いでいます。

協力:寺本甚兵衛製瓦

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