漆の黒と対をなすのは金箔(きんぱく)の黄金色です。特に阿弥陀堂は、浄土の世界が金箔によって表現されて華やかであり、豪華に見えます。

 日本で製作される金箔は世界一薄いといわれ、1万分の1から2ミリにまで引きのばすことができるため光が透けるほどです。この人の吐息でも舞い上がってしまうような薄い金箔は、箔押師の手によって扱われます。

 金箔は漆を接着剤に押されます。まず、漆を塗り拭き綿などで均一になるように全体を拭いていきます。漆は季節や温度や湿度、箔押しをする部分の状態によって乾き具合などが異なるため配合を変えます。また、この時に拭き残しがあるとムラができてしまったり、漆の厚みで箔の輝き方が変わってしまいます。

 次に、竹とで金箔をそっととり、漆の上に押します。この箔押しの技法だけでなく日本では、漆で文様を描きその上に金箔や銀箔をいて図柄を表現する蒔絵まきえの技法などがあみ出されました。

 

 

 

 親鸞聖人の御厨子(おんずし)、御本尊が安置されている宮殿(くうでん)、そしてその須弥壇(しゅみだん)は、彫刻や錺金具(かざかなぐ)などにも箔押しが施されており、その細工は綿密で繊細なためすべて手作業で行われています。そのためこの職人の技が集結された御厨子や宮殿、須弥壇は総合芸術作品と呼べるほどです。

協力:小堀若林佛具製作所