打敷は、(しょく)などに敷く荘厳具(しょうごんぐ)の一つです。その歴史は定かではありませんが、奈良時代の資材帳などによると、机や床の上に(じょく)と呼ばれる絹織物などの布を敷いていたようで、正倉院にも多数の褥が収蔵されています。平安時代になると、厨子(ずし)(たな)、卓などの調度品に布を敷くようになり、その後、ご本尊や親鸞聖人の前の卓を飾るために(にしき)金襴(きんらん)を敷くようになったと言われています。

 本願寺第八代蓮如上人は、亡くなられた方の着物が遺族から寄進されたときに、蓮如上人が打敷を作られて親鸞聖人の御影(ごえい)の前に敷かれたといわれます。

打敷には、織り、染め、刺繍(ししゅう)のものがありますが、真宗大谷派(東本願寺)の打敷では、刺繍が多いことが特徴で、江戸時代から現在まで刺繍の打敷が多く作られてきました。

 今から約100年前の宗祖親鸞聖人六五十回御遠忌法要では、竹内栖鳳(たけうちせいほう)氏の天人の絵を刺繍した打敷が制作されました。その50年後の1961(昭和36)年の宗祖親鸞聖人七百回御遠忌法要では、山口華楊(やまぐちかよう)氏の桜花の打敷が作られました。1973(昭和48)年の親鸞聖人御誕生八百年・立教開宗七百五十年慶讃法要では、大谷大学教授の下村良之助氏が描いた二羽の白鳳凰(ほうおう)が刺繍された打敷が新調されています。

 

協力:柴田法衣店(公式HPはこちら)

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