2023年1月27日。山形市木の実町の山形教会を会場に消防署に依頼しYYR『救急救命講習会』が開催されました。参加者はYYR会員をはじめ、ご縁ある方々や山形教会主管者・山形エリア駐在教導のお二方にもご臨席頂き、20名程の講習会となりました。講習内容はビデオ講習、消防署員による講習、心肺蘇生法の実技講習の3つのカリキュラムから成る講習です。ビデオや消防署員による講習では、いかに早く救命処置を行うべきかの重要性や統計データを元に救命処置の実状等を解説して頂き、実技講習では人形を使用し、心臓マッサージとAEDの使いを主に実践しました。
参加者の中には、この先自坊にもAEDを導入したいという方もおられました。このような出張講習は全国の消防署で行っているので、積極的に講習を受け救急救命について学んでいってもらいたいと消防署員の方も仰っておりました。
今回『救急救命講習会』を開催したYYRとはどのような団体なのか、会長の新羅尚史さん(山形第4組緑陰寺)にお話を伺いました。元々YYRとは旧山形教区青少年小委員会主催の教化事業であり、東日本大震災により外で自由に遊べなくなった福島県の子ども達に何かできなかという思いにより、2012年から短期保養企画YYR(山形で、ゆったり・ゆっくり・リラックス・リフレッシュ)として始まり、たくさんの方々のご支援ご協力により活動してきたそうです。しかし、コロナ禍に入りこれまでのような保養活動もままならず、教区改編により形態も変わってくる。そのような節目ということもあり、単に保養企画のみにこだわるのではなく、これから自坊に戻ってくる寺族や教化活動に興味を持つ門徒子弟の受け皿となってスタートを切れるように、各会員が自主的に自由に会の運営と活動に取り組むため、2022年度の教区改編に伴い山形教会を拠点とし、連携し活動していける任意団体「真宗大谷派山形有志連絡協議会」通称「YYR」として新たに発足しました。このような経緯から始まり、一番始めの活動が今回のYYR『救急救命講習会』になったとのことです。
救急救命講習会を開催する思いについては「お寺も人が集まる場所なので、救命の有する事が起きた際に技術や知識を身に着け対応できるようになれればいい」と仰っておりました。さまざまな人を集めて講習を受けることで有事の際に自分のお寺だけでなく、組・エリア・教区という広い視野で連帯をはかり行動できるようになるのではないかという思いと、山形教会というお寺を活きた場所にしていきたいという願いもあるそうです。これまでは山形教会と山形教務所が併設され、教区の教化活動や行事の中心となっていましたが、教区改編にともない東北教務所1つに統合され、山形教会が単独となりました。常時在中職員も1人になり、本山との手続業務等も東北教務所に移り、足を運ぶ人も少なくなりました。そうなると、人と顔を合わせる機会も減り繋がりが薄くなってしまいせっかくの教会がもったいなく感じる方も多いようです。単に個人の能力のスキルアップに留まらず山形教会という場を閉ざさずにこれまでのようなお寺として皆で活きた場所に開いていきたいという願いから今後、山形教会を拠点に様々な分野の活動をとおして、人と繋がり関係性を築いていきたいと仰っていました。
最後に、今回山形教会の使用許可をいただき、講習会にもご臨席いただいた教会主管者の中根慶滋東北教務所長にも教会についての思いを伺いました。中根所長は、山形教会の特色に着目し、「山形教会は寺族・御門徒の御厚志で建てられた経緯から、誰か一人が主導権を持って活動するのではなく、また逆に、何をしたらいいの? と誰かに人任せしてしまうこともない、皆の発想からアイディアを持ち寄り実現できるよう教会のご本尊のもと、集まり活動していけるような発信拠点として教会を開いていきたい」と仰っていました。また、今後の展望については、「山形教会も1つのお寺なので多くの人からさまざまな視点で自由に活動に取り組み、お寺として活きた場所になってほしい。お寺には無限大に可能性が有り、それを実現できるようにサポートしながら教区・エリア内の方々と関係性を築いていきたい」とのことでした。
今回の取材からお寺を活かしていくのは我々人なのだとあらためて感じました。お寺という建物があってもはたらきがないと活きたお寺として開いているとはいえないのではないでしょうか。活動をとおして人と関係性を築いて気づかせてくれる場所がお寺なのだと感じました。
(東北教区通信員 佐々木智悠)