法語に込めた思い

以前、「愚か者めが!」と他人を責めたてる国会議員が話題となりました。人は誰も愚か者になどなりたくはありません。しかし縁があれば間違いを犯してしまうのが人間です。親鸞聖人は法然上人の「浄土宗のひとは愚者になりて往生す」という言葉を大切にされました。「往生」とは阿弥陀如来の世界である浄土に生まれることです。仏が自分の思い通りに生きようとしても生きられない愚かさを持つ私たちをこそ救い取りたいと願いを立てられたことを思い、この言葉を選びました。

掲示板に込めた思い

福島県会津若松市の一角に位置する正敎寺。訪問してすぐ、駐車場と墓地の間に設置された掲示板が目に入った。2006年に寺院の役員から寄贈されたという掲示板は、前住職の代には寺院の行事や催しのお知らせを掲示することが多かったという。その後、現在の住職である秀一さんが、法語に込められた親鸞聖人の教えの精神を誰にでも伝わるような言葉で表現したいという想いから2019年に法語の掲載を始めた。


最初のうちは言葉だけを載せていたが、意味を知りたいという声を受けて解説文も一緒に載せ始めたという。月ごとに言葉を考えて書き入れるが、うまく浮かばない時もある。自分なりの受けとめを250字程度の短い言葉で表現することの難しさを感じているそうだ。

「世間の中に教えに通ずるような言葉が急に出てくることがある。そんな言葉を発信して、困難にぶつかって悩んでいる人の支えになればと思う。その上で浄土真宗っていいなと思ってもらえればうれしいですね」と秀一さんは語っていた。

(東北教区通信員  藤原 了)

『同朋新聞』 2023年9月号「お寺の掲示板」より

ご紹介したお寺:東北教区会津組 正教寺(住職 諏訪 秀一)
※役職等は『同朋新聞』掲載時のまま記載しています。