地域に根付いてきたお寺の役割に、子どもが安心して集い、学ぶことのできる場を加えることにしたい!
そして、家庭でも、学校でもない、安心していける第3の場所としてのお寺。
2018年7月24日、青森県蓮心寺の「夏休み宿題合宿」から約半年。2018年12月22日、今度は「冬休みの宿題合宿」を開催いたしました。
東本願寺とNPO法人寺子屋プロジェクト Tera schoolが連携し、蓮心寺と協力してお寺をひらいていく寺院活性化の取り組みです。
雪国では冬休みが長く、夏休みが短いとの話を聞いたことがありますが、青森の冬休みは約3週間と長めで宿題も多い。宿題を集中してやれる場所ってけっこうイイかもしれませんね。
【全員が学習者】
このたびは、小学1年生~6年生まで19名が冬休みの宿題を持って参加。そして、スタッフに蓮心寺の寺族・門徒・教育に関心のある社会人・弘前大学生に加え、青森高校生がボランティアとして参加いただきました。「全員が学習者」をコンセプトとするテラスクールでは、大人も「寺報の作成」「読書」「大学の課題」「試験勉強」など自身の学びなどに取り組みながら、子どもたちの学習支援(見守る、一緒に考える、教える)を行いました。
このたびは、その主な流れをお知らせします。
<スタッフミーティングと諸準備>
今日初めて顔を合わせる方もいます。初めてどうしだとなんとなくぎこちなくなってしまう。だからこそちょっとした工夫が必要です。
8:30
【名札をつくろう】
読んでほしい名前を書いてもらう。(首掛け名札フォルダー、名札用紙、色ペン、デコレーションするためのシール)
9:00
【住職挨拶】
「おはようございます。スタッフ募集で、高校生から電話がかかってきたのをだいたい私がだいたい出たと思います。多分緊張して電話されてたと思います。私も何だかその声に緊張してどきどきしました。なかなか高校生から電話がかかることはないことですので・・・。子どももスタッフもたくさんの方に集まっていただきました。本日は一日よろしくお願いします。」
【副住職挨拶(今日の流れ、アイスブレイク、注意点)】
・参加者が19名(小学校1年生〜6年生まで 浪打小、橋本小、大野小、筒井小、泉川小)、スタッフが26名(看護師、給食、高校生、門徒、青森高校、弘前大学、テラスクールスタッフ、社会人、蓮心寺門徒、保護者、住職、坊守、副住職、若坊守、宗務役員)で、4つの班に分けて学習を行うことの伝達。
・スタッフ自己紹介(15秒以内)
【リーダーを決める】
4つのテーブルそれぞれ各1分間でリーダーを決める。(ジャンケン、推薦など)
【アイスブレイク】
スタッフ同士も初対面。高校1年生から最高は??歳まで60歳ぐらいの年齢幅があります。スタッフが緊張していたら子どもも緊張してしまうかも。そこで、緊張をほぐすためにアイスブレイクを行いました。
☆リーダーが班の意見をまとめていく3択問題
第1問 蓮心寺はできて何年経っているかな?
①400年 ②402年 ③403年
第2問 住職と坊守はどっちが年上か?
①住職 ②同級生 ③坊守
【スタッフの注意事項】
☆言葉づかい。最初の段階で「ヒトモノコト」を大切にすることを伝える。嫌な思いをさせないように。
☆みんなで創る場であることを考えてもらう。 そして、テラスクールにおける生徒との関わり方 から抜粋したネガティブリスト、ポジティブリストを確認。
・ネガティブリスト(やってはいけないこと)
・子どもたちが考えている途中で答えを言う
・子どもたちが課題に集中している時に話しかける
・自分がよく知らないことを子どもたちに解説する
・設定した目標を達成していない子をおだてる
・自分自身の課題に散漫な姿勢で取り組む
・ポジティブリスト(慣れるまでに意識してほしいこと)
・自分の言葉で説明するように求める ・手が止まった時に声をかける ・さらに深く調べることを促す
・高い目標への挑戦を応援する
・集中してor楽しんで課題に向き合う
【スケジュール確認】
<受付:子どもたちを迎えよう>
9:00
【受付】
・ 調理担当の方が子どもたちの参加受付
いつもと違ってかわいい靴が並んでる。なんかいいね!
・その他スタッフは、開会式会場の本堂へいって、子どもの名札作りの見守り、開会式の準備を行います。
10:00
【はじめの会】
・住職あいさつ
・学習会場に移動してテーブルごとに自己紹介(年齢が近い子どもが1つの班になるように分けました)
緊張している子、なんだか楽しそうな子、いろいろでした。
10:20
【緊張をほぐすためにみんなでクイズ】
緊張をほぐすために、チーム対抗クイズ
第1問 青森の有名なお祭りと言えばなんですか?
①ねうし ②ねやぎ ③ねぶた
第2問 青森の有名なくだものと言えば何ですか?
①パイナップル② アップル③ オレンジ
第3問 青森市で桜の有名なところは?
①弘前公園 ②合浦公園 ③蓮心寺
第4問青森市はどれくらい人がいる?
①10万人② 19万人③ 28万人
第5問青森県には日本一がある ?
①トンネル② 砂丘③ イチョウ
10:30~11:10学習タイム①
11:20~12:00学習タイム②
<学習タイム>
【宿題を終わらせよう合宿!ミッションシート】
「宿題を終わらせよう合宿!ミッションシート」にしたがって、計画を立て学習しました。
大きな計画⇒小さな計画⇒実行⇒ふりかえり⇒ふりかえりに基づいて計画⇒実行⇒ふりかえり⇒ふりかえりに基づいて計画・・・・⇒大きな計画のふりかえり⇒家庭での学習へ
といったねらいです。
第1回目の宿題合宿で来た子どもは、流れを少し理解しているということもあるかもしれませんが、みなさんすごい集中力!!
さまざまな世代がともに自分の目標に向け学ぶ環境の効果かでしょうか?子どもたちにとっては、「ちょっとわかんない」というときに聞ける大人が近くにいるのがいいようです。それに、「みんながんばって宿題やっているから、席を立って遊んだり、だらだらできない」など。
12時00分
<待ちに待ったお昼ごはん >
【ご門徒特製 野菜たっぷり〝蓮心寺カレー”】
野菜たっぷりひき肉入り。朝からご門徒スタッフが作ったカレーはおいしい!カレーに福神漬けとサラダ、子ども限定のでっかいみかん。おかわり自由でした。はやい子どもは5分でおかわり。みんな残さず食べました。
12時30分
<子どもは遊ぶ、走りまわる>
【休憩時間】
特別な遊びを用意しなくても、好きに考えて遊ぶ。とにかく走り回る。本堂で走り回る。いつのまにか〝こおりおに”が始まる。子どももスタッフも走り回る。ほぼ全力(笑)勉強が始まる5分前に終了の合図。何人かは汗をかいていました。
13:00~13:40学習タイム③
13:50~14:30学習タイム④
午前中よりも本当に静かでした。遊び疲れたこともあるかもしれませんが、抜群の集中力でそれぞれの課題に向き合っていました。 今日で子どもたちの2人は全部宿題が終わってしまいました。
<おわりに>
【今日のふりかえりと、冬休みの宿題計画】
最後は今日1日のふりかえりと残りの冬休みの宿題計画を立てました。感想も書いてもらい、それぞれ同じ班の大人がコメントを書きました。
14:50
<おわりの会と今後に向けて>
【集まったみんなに感謝。握手でお別れしよう】
楽しくがんばった時間もいったんおしまい。集まったみんなに感謝し、握手でお別れしました。「こんど春休みに来るね」とまだ計画も立っていないのに言っているこどももちらほらといました。
<今後に向けて>
【蓮心寺で今後やっていくことが、他のお寺のモデルになったらいいな】
2回目の宿題合宿を経て、月1回の開催が将来できたらという意見もありました。蓮心寺としては、このお寺でできればいいということではなく、他のお寺のモデルにもなっていけたらとの思いがあります。
「お寺という場を提供して、子どもと大人がともに学ぶ場をつくる。」
子どもは夏休みや冬休みの宿題をする。大人は自分の学びと子どもたちの学習支援をする。お寺を取り巻く状況は様々ですが、このような取り組みであればどこのお寺でもできるかもしれません。
【感想】
・スタッフとして
☆自分で目標を定める効果がある☆ 他の子が何やっているかもっと知りたい☆ つまらんかなと思ったけどまた来ますという子がいた☆ 40分は適当な時間であったか☆時間の区切りごと、次に何するかを言ったほうがいい ☆公式を使わない小学生の算数を教えることの難しさ
・お寺への集まりとして
☆勉強合宿だけど遊んじゃうのもありかな、泊まりもありかな☆仲良くなったぐらいで終っちゃうのがもったいないかな
・子どもとして
☆大人に囲まれて勉強したのは初めてだった☆違う学校の子とお話しできた☆ できないところができるようになった☆ 励ましてくれたのが嬉しい ☆友達や大人に聞けた ☆春休み合宿はないの? ☆カレーがおいしい☆鬼ごっこが楽しかった(6年生)
北海道新聞掲載https://www.hokkaido-np.co.jp/article_photo/list?article_id=261553