真宗大谷派(東本願寺)では、宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃事業の5つの重点教化施策の一つとして、「真宗の仏事の回復」を進めています。これは朝夕のお勤めや報恩講をはじめ、通夜・葬儀・法事などのあらゆる仏事が、御本尊を中心とした仏法聴聞の場として回復していくための取り組みです。ここでは各教区の動きを紹介します。


小松教区では、蓮如上人以来の「お講」が今も根付いています。教区単位のお講から、8つある組(くみ)門徒会単位のお講、各町単位の町お講まで、大小さまざまな規模で、いずれもほとんど毎月「お講」が開かれています。

大抵の「お講」は、お勤め(正信偈 念仏和讃三淘回向)の後、そのお講に下付された御消息を拝読したのち、法話を聴聞するという形でお参りされています。

元来、真宗門徒は、お勤め(勤行)を通して、正信偈(親鸞聖人のお説教)を自分たちの口耳を通じてお聞きし、念仏を称えてきました。元々お講は、同行が寄り合ってお勤めをするために開かれてきたそうです。そこに次第にお念仏のいわれをお聞きする法話の席が加わり、今日にいたるまで法義相続が伝承されてきました。

しかし、高度成長や核家族化といった社会の風潮の変化に伴って、私たち自身の意識も近代的な自己責任観や経済主義による金銭価値中心の色眼鏡に覆われていき、古くから丁寧に相続されてきた「お講」の大切な思いもまた、存続の危機にあります。

お勤めの様子(8月)

お勤めの様子

御消息拝読の様子(8月)

御消息拝読の様子

法話の様子

法話の様子

教区の総講「十二日講」

このため、小松教区の「真宗仏事の回復」は、大切な歴史を持つ「お講」を絶やさぬため、教区の「総講」として、毎月開かれている「十二日講」の相続に焦点を当てて取り組んでいます。

小松教区の十二日講は、天保年間(1830年頃)に、達如上人から御消息が旧能美郡(小松教区)へ下付されたことを由来とし、明治18(1885)年に相続講が始まった折に、十二日講へ十字名号が現如上人より下付されたことから、以来この十字名号を本尊とし、御消息の導きによってお参りされているという深い歴史を持っています。

現在の十二日講は、小松教務所の常磐会館を会所とし、小松教区十二日講門徒会という門徒の組織によって運営され、門徒主導の相続講制度が息づく小松教区における代表的な教区教化事業として連綿と受け継がれています。

常磐会館(小松教務所)

小松教務所(常磐会館)

感染症拡大防止対策をとってのお勤め

本年2月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためやむなく休止していましたが、教区で作成した開催ガイドラインに則って、7月より再開されました。

まず、教務所員のお勤めから始まります。次第は、正信偈草四句目下 念仏和讃三淘 回向 願以此功徳です。お勤めののち、御消息が拝読されます。8月は全戦争犠牲者追弔法会と兼修されており、教区内役職者の出仕、教区声明会の助音で勤まりました。また、この時は正信偈の前に阿弥陀経が拝読され、参拝者による焼香が行われています。

再開後は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、席を2m間隔に離し、消毒液の配置や定期的な換気、名簿記入などを行って開催しています。

参拝風景(7月)

参拝者の様子(8月)

感染対策をとって行われた法話の様子

焼香の様子(8月)

全戦争犠牲者追弔法会の焼香の様子

(小松教務所)