石川県小松市大川町3丁目にある弓波山西照寺さんで開催されているこまつ子ども食堂に伺いました。コロナウイルス蔓延防止等の事情により、今回はお弁当の配布というかたちでの開催でした。こまつ子ども食堂の代表を務める西照寺の日野史(ふみ)さんのご指導のもと、ボランティアとして参加させていただきながら、子ども食堂の運営方法や活動への思いをお聞きしました。おおまかな当日の流れと共にQ&A方式でご報告させていただきます。

 

西照寺のキャラクターうぇるなむ君がお出迎えしてくれました

 

 

子ども食堂を始めたきっかけ


当日、西照寺さんに到着して本堂でお参りさせていただいた後、お土産班でボランティアをさせていただくことになりました。「初参加なのですが、何をすればいいですか?」と、他のボランティアの方に緊張しながらお尋ねしたところ「わかりません。お土産班は全員初参加みたいですよ?」と返され驚きました。一抹の不安はありましたが、史さんの的確な指示のもと作業は順調に進んでいきました。そんな作業中、最初の質問をさせていただきました。

 

Q.子ども食堂を始めたきっかけと開催日を教えていただけますか?

 

A.とある場でフードロス削減運動に関わる方とお会いするご縁があったんです。以前から子ども食堂に興味があったことをお話させていただいたところ、次の日には電話が鳴って「日野さん、子ども食堂やりましょう!」と言われました(笑)。戸惑いつつも話はとんとん拍子に進み、1週間後には子ども食堂を始めることが正式に決まりました。開催日は奇数月の最終日曜日で、始めてから足掛け3年になります。

 

 

全員が初参加だからこその一体感で作業はあっという間でした

たくさんのお土産が詰まったお手製の紙袋です

 

 

物資について


お弁当と一緒にお渡しするお土産は、お野菜にお菓子、お茶、お餅にパンと大変豊富でした。前日に「今回の子ども食堂開催にあたって購入したのはマヨネーズのみです」とお聞きしていましたので、物資は多めにあると思っていましたが予想以上の数でした。特に大量のパンが届いたのが衝撃的で、物資の供給元が気になり聞いてみました。

 

Q.お弁当の材料やお土産となる物資はどうやって集めているのですか?

 

A.活動に協賛してくださっている方々や企業から物資をいただいています。共催のいしかわフードバンク・ネットさんからは食品をいただいていますし、農家さんからはお米、市場からはお魚、今日のお土産の玉ねぎは野々市市の牧師さんが提供してくださったものです。過去には門前に溢れるほど野菜を置いていってくださった方もいらっしゃいました。全8か所で開催されているこまつ子ども食堂間で食品のシェアもしています。コロナ対策で配られた10万円の特別定額給付金を「子ども食堂のために」と全額寄付してくださった方もいらっしゃいました。本当に有り難いことで、こまつ子ども食堂は皆さんのご協力で成り立っています。余裕があるように聞こえるかもしれませんが毎回カツカツで、今回の献立が決まったのも前日です(笑)。

 

 

西照寺 (4)こまつ子ども食堂関係者の方が持ってきてくださいました

西照寺 (5)さまざまな方から届いたお野菜だそうです

 

 

 

 

 

人との繋がり


お弁当とお土産が完成し、西照寺さんの玄関前にお弁当の受け渡し場を設営しました。本日は予備も放出して計59食の提供となり大盛況でした。「ありがとう」と言いながらお弁当を受け取る皆さんの嬉しそうな表情と「無事終わってよかったね」と話すボランティアさん達の笑顔が印象的でした。

 

一段落したところで改めてボランティアの皆さんにお話をお聞きしたところ、母子会の方に児童館の方、西照寺さんのご門徒に史さんのご友人、子ども食堂を新たに始めたいという方等々、繋がりの多さに気がつきました。作業中は豊富な物資に目が行きがちでしたが、それらは人との繋がりによっていただいたものであり、お弁当やお土産、子ども食堂という場そのものがたくさんの人との繋がりによって成り立っていることを実感しました。そこで、人との繋がりについてお聞きしました。

 

 

Q.人との繋がりによって場とお弁当ができているように感じましたが、いかがですか?

 

A.そのとおりだと思います。子ども食堂を始める以前からPTAや音楽関係などの活動をしていましたし、子ども食堂を始めるにあたって協力していただける企業や団体を探すためにさまざまなところに伺ったり連絡をとったりしましたが、何ひとつ無駄なことはなかったと思います。ひとつの繋がりが生まれることで、またそこから新しい繋がりが生まれてきます。今日参加してくださった方々の間でも新しい繋がりが生まれてくると思いますし、そうやって新たな場が開かれていくのではないでしょうか。

 

 

献立とお手製のイラストが描かれていました

美しく美味しいお弁当でした

 

 

 

次々に皆さんのお手元へ

曇天にも関わらず沢山の方に来ていただけました

 

 

 

 

 

活動と教化への思い


Q.地域に根ざした活動を体験させていただきました。最後に活動と教化への思いについてお聞かせいただきたいと思います。

 

A.地域に根ざした活動と教化、どちらも大切に思っています。 西照寺では子ども食堂の他にもさまざまな活動を行っており、例を挙げると音楽ライブやヨガなどがありますが、活動の根本にあるのは「阿弥陀さんの前に座ってくれる人を増やしたい」という思いです。昔、やんちゃな子ども達が本堂の阿弥陀さんの前で「わーっ!」と目を輝かせているのを見て感動しました。荘厳と場の力を実感したんです。その時、阿弥陀さんを前にすると感動し頭が下がる、そういうものを人間は心の奥に持っていると思いました。だからこそ、「きっかけは何であれ、一人でも多くの人にお寺に来ていただきたい。一人でも多く阿弥陀さんの前に座っていただきたい」という思いで活動をしています。

 

 

様々な活動の奥には教化への思いがありました

 

 

 

人が集い・繋がる場を作るのはとても大変なことだと思います。しかし、大変であると同時に、コロナ禍の今だからこそ場の尊さを感じました。お寺での子ども食堂が南無阿弥陀仏との出遇いとなれば、それはとても素晴らしいことではないでしょうか。「つながり」ということを考えながら美味しいお弁当をいただきました。ごちそうさまです。ありがとうございました。

 

(小松教区通信員 松永悠)


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