名古屋駅から一駅、近鉄線米野駅から徒歩5分程の場所にある圓福寺では報恩講や永代経等の伝統行事の他にさまざまな行事や催しを行っています。ご住職の木佛寺(きぶでら)(のぼる)さん、副住職の小玉(こだま)(めぐみ)さんからお話を伺いました。

山門
本堂と境内

圓福寺で行われるさまざまな行事のご紹介

  • ささしま暮らしのお寺市…地域行事として主に近くのお寺との2ヵ寺を会場としたマルシェやさまざまな催し、花まつり等の法要も勤まる。
  • 健康体操…本堂で椅子を使った高齢者向けの体操。
  • 心と身体のほぐし塾…若い人向けのヨガ教室。
  • ハンドケアスペースいたわり…介護美容の先生による爪や手のケア。
  • ふらっとサロン円福寺…回想法を用いたおしゃべりの場とお茶会。
  • 歌声サロン…それぞれ好きな曲をリクエストして先生がピアノ伴奏して皆で歌う会。
  • みーつの会…正信偈や和讃の書写と講師のお話と座談を行う同朋会。

その他にも習字教室やお勤めのお稽古等々も行われ、「円福寺ギャラリー」では、様々な展示も行っています。

みーつの会

ギャラリー/撮影時はNPO法人ひょうたんカフェさんの展示「ひょうたんカフェの布から生まれた Hagee&kireppaと海の仲間展」

大きな2つの転機

多くの行事を行うようになったきっかけは2つあるとのことです。

まず一つが2017年に圓福寺で勤修された「宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌法要」。

その際に門徒助音につかれた方を中心に「寺院活性化プロジェクト委員会」が立ち上がりました。その委員会が活発に活動し「こんなことが出来たらいいな」「こんな先生がいるよ」という話からどんどん行事が増えていくようになったそうです。

「行事は基本的に委員会が主催し、楽しみながらやりがいを感じていただいている。いろんな行事に参加してもらう流れができて、みんなの活動として受けとめられるようになった」と副住職の小玉さんは、話されます。

そしてもう一つのきっかけが2020年からの新型コロナウイルスの流行。

全体的な繋がりが薄くなり人が集まる機会が減ったところに、皆さんからの年齢を超えて集まりたいとか、しゃべりたいといった声が強くなり、お寺としても小さめの規模でもいいのでお寺がコミニティーのスペースとなれないかという思いもあり、それがさまざまな行事を開催することに繋がったそうです。

また近くにある愛知大学の「ささしまエリアマネージメント委員会」というサークルの学生さんがコロナの流行以降活動の場がなく、圓福寺に活動する場がないかと訪ねて来られました。それをきっかけに、東日本大震災から10年となる2021年から毎年3月11日にわすれなの鐘をつき、その場で学生さんが震災や防災について発表したり、非常食のデモ調理をしたりするようになったそうです。以降は、学生さんがお寺を活躍の場として、またお寺市の方では、学生さんが運営やお手伝いに来られるそういう関係性ができたとのことです。

そのような2つの大きな転機を経て、委員会やご門徒が盛り上がり、2023年には名古屋教区内寺院で初めてとなる「宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要」も厳修されました。

ささしま暮らしのお寺市

多数ある行事の中でも特に規模の大きい行事が「ささしま暮らしのお寺市」。

1993年に寺が地域に開かれた場となることを願い、圓福寺が主催し20年以上続いてきた地域のフリーマーケット「親鸞聖人ご命日の集い『持寄り市』」。2015年圓福寺の本堂建て替えに伴い休止していたこの「持寄り市」を市の開かれるお寺の風土を継承し2023年に実行委員会を設立し『ささしま暮らしのお寺市』として新たに開催されました。

今年の4月27日に開催された時にはキッチンカーを含めて30の店舗が出店、大治太鼓の演奏等の催し物もあり、また地域を知ってもらうために開催した町散策のスタンプラリーには約500名もの方が参加されたそうです。

そして暮らしの中で皆で集まれる場を作ろうということで毎月第3金曜日には4、5店舗の出店と規模を小さくした「ミニささくら」も開催されています。「ミニささくら」の際には時期によってこども夏まつりやビアガーデンを開催してみたりと色々な形を模索されています。

お寺市の様子

大治太鼓の演奏
圓福寺スタッフTシャツ

圓福寺住職 木佛寺徳さんから最後に一言

「まずはお寺に来ていただくところから、伝統的な御仏事以外にも宗教色の薄い行事も行うことでお寺に来ていただく間口を広げてハードルを下げるということもしつつ、そこから御仏事を勤めることに繋がっていくように、またお寺の運営等にご協力いただけるような関係を作っていければ、これからも色々な形を模索し続けていきます」。

さまざまな方の活躍の場として、そしてそんな方々に支えれている圓福寺。

取材の中で印象的だったのが、ご住職がつぶやかれた一言「委員会の人達の方がお寺の中のことについて詳しいんじゃないかな」。地域との、ご門徒との繋がりの深さを感じました。

(名古屋教区通信員 廣瀬彰紀)