鹿児島県いちき串木野市にある淨泉寺の「淨泉寺婦人会」の総会を取材させていただきました。

午前中は、若手の僧侶を招いて法話を聞く研修会があり、お昼はお斎をいただき、午後から総会が開催されました。

総会へ向けての準備は前日から始まり、境内の掃除や仏具のお磨き、お斎のちらし寿司の仕込みをされるそうで、和気あいあいと作業されている姿が目に浮かびます。

当日の研修では、皆さん興味深い顔つきで若手僧侶の法話を聞いたり、メモを取ったりして、お昼のお斎の時間は楽しそうに過ごされている様子が印象的でした。

総会後に会員さん、坊守さんを交えてお話を聞かせていただきました。

どうして若手僧侶を招かれるようになったのかをうかがうと、坊守である藤島伸子さんは「四、五年前に若院が自坊に帰ってきてから、同年代の若いお坊さんを招くようになりました。というのも、若い人達に育ってほしいという願いと、これをご縁としてお互いが研鑽できる場となれば」と、その思いを話されました。

若手僧侶のお話を聞いた感想を前会長の有川六子さんにうかがったところ、「歳が近い人と若い人の話では違った発想をするので、自分達も見過ごしてきたことにハッと気づかされることがあるんです」という言葉が聞かれました。

私も昨年、お話させていただく御縁があったのですが、話をする自分を温かい目で見守ってくれるご門徒の皆さんの姿がとても心強く感じられ、「お互いが研鑽できる場となれば」という願いは、こういうことだったのかと思いました。

人口が減少している、いわゆる過疎化地域であるにもかかわらず、高齢の方だけでなく、若い人の姿が多く見受けられたことについては、坊守さんは「地域共同体が壊れつつあり、過疎化が進み高齢化が進んでいるなか、仏教婦人会が重要なものになってきていると思います。報恩講や総会の準備に奉仕作業をすると比較的若い人が参加されます」と話してくださいました。ただ、同朋会には若い方の参加が少ないので、今後、聞法の場にどう若い人を集めるかが課題だそうです。

参加者(会員の西牟礼清子さん)にお話をうかがうと、「若い人と付き合っていきたい。繋がりを作りたい。お寺に来るのが唯一の繋がり、交流を持てる場ですね」と語られました。

淨泉寺の周りでは地域婦人会の解散が目立ってきているそうで、そういった地域交流の場が失われている現状だからこそ逆に、お寺の存在が大きくなってきているようです。

 今回、取材させていただいて、印象的だったことは、ご門徒の皆さんがとにかく明るいということでした。こんな楽しそうな場であれば、ちょっと参加したくなるかも…。老若問わず引き寄せられてしまうその雰囲気はとても貴重だなと思いました。

(鹿児島教区通信員 齊藤曉壽)
『真宗 2008年(12月)』
「今月のお寺」鹿児島教区日薩組淨泉寺

※役職等は『真宗』誌掲載時のまま記載しています。

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